2026.10.15

群馬の人手不足|求人倍率1.28倍、採用の前に数える3つ

人手不足群馬業務改善

群馬の人手不足|求人倍率1.28倍、採用の前に数える3つ

群馬労働局が2026年10月2日に公表した「労働市場速報(令和8年8月)」で、群馬県の有効求人倍率は1.28倍でした。全国の1.18倍を上回り、都道府県の中では15位です。同じ月の茨城県は1.13倍、栃木県は1.09倍で、北関東3県の中では群馬がいちばん高い数字です。

求人倍率が1.28倍ということは、仕事を探している人1人に対して、1.28件の求人があるということです。求人を出しても、応募が来るとは限らない状態が続いています。

「辞めた人の補充を出しているが、3か月たっても応募がない」
「募集を出す前に、そもそも何人足りないのかが分からない」

こうした状態のまま、同じ求人票を出し直している会社も少なくないのではないでしょうか。

この記事では、まず群馬の求人と求職の数字を、群馬労働局の資料から読み解きます。そのうえで、当社が業務改善のご相談でおすすめしている「採用の前に数える3つ」をご紹介します。採用をやめましょう、という話ではありません。募集を出す前に一度だけ数えておくと、求人票の中身が変わり、場合によっては募集の形そのものが変わる、という話です。

数字は、すべて2026年10月15日に資料を開いて確認したものです。

旋盤の前で作業する職人と、手前のノートパソコン(画像はAI生成のイメージです)
旋盤の前で作業する職人と、手前のノートパソコン(画像はAI生成のイメージです)
この記事の目次(7項目)

群馬の人手不足を数字で見る|有効求人倍率1.28倍の中身

北関東3県で群馬がいちばん高い

群馬労働局の速報(令和8年8月)の主な数字を表にします。倍率は季節調整値で、群馬県内のハローワークが受け付けた求人をもとにしたものです。

項目群馬県参考
有効求人倍率(季節調整値)1.28倍(前月1.30倍)全国1.18倍/茨城1.13倍/栃木1.09倍
全国での順位15位前月は14位
正社員の有効求人倍率(原数値)1.09倍(前年同月1.02倍)全国0.99倍
新規求人倍率(季節調整値)1.93倍(前月2.13倍)

正社員に絞った倍率も、群馬は1.09倍で全国の0.99倍を上回っています。全国では正社員の求人より求職者のほうがわずかに多いのに対し、群馬では求人のほうが多い、ということです。

有効求人倍率の推移(2025年8月から2026年8月)。群馬は全国・茨城・栃木を上回って推移している
有効求人倍率の推移(2025年8月から2026年8月)。群馬は全国・茨城・栃木を上回って推移している

「求人が増えた」のではなく「探す人が減っている」

ここで1つ、読み違えやすい点があります。8月の倍率は、前月の1.30倍から1.28倍へ、4か月ぶりに下がりました。では人手不足がやわらいだのかというと、中身を見るとそうとも言えません。

  • 有効求職者数は25,960人で、前年同月比2.0%減。5か月連続の減少です
  • 有効求人数は32,589人で、前年同月比1.8%増。42か月ぶりの増加でした
  • 新規求人数は10,247人で、前年同月比0.7%減

群馬労働局の総括は、こう書かれています。

県内の雇用情勢は、求人が求職を上回って推移しているものの、求人は緩やかに減少している。物価上昇等が雇用に与える影響に十分注意していく必要がある。

つまり、企業が出す求人は爆発的に増えているわけではありません。それでも倍率が全国より高い水準にあるのは、仕事を探している人の数そのものが減っているからです。募集の出し方を工夫しても、応募してくれる人の母数が小さくなっている。ここが、群馬の人手不足のいちばん重い部分だと当社は見ています。

業種と地域でも差がある

同じ速報の、産業別の新規求人数(8月・前年同月比)を見ると、業種による差がはっきり出ています。

業種新規求人数前年同月比
医療・福祉2,946人8.5%増
製造業1,485人0.5%減
卸売・小売業1,262人30.8%減
サービス業1,178人10.7%減
建設業1,008人15.7%増
運輸業・郵便業566人31.0%増

求人の数がいちばん多いのは医療・福祉で、建設業と運輸業は前年より大きく増えています。

地域で見ると、ハローワークの管轄ごとの有効求人倍率(原数値・8月)は、高い順に中之条1.74倍、高崎1.61倍、富岡1.49倍。低いほうでは渋川0.81倍、桐生0.89倍でした。同じ群馬県の中でも、管轄によって倍近い差があります。なお、この管轄別の数字は原数値なので、冒頭の1.28倍(季節調整値)とは並べて比べないでください。県全体の原数値は1.26倍です。

よく挙がる人手不足の対策と、その前にやること

人手不足の対策として、よく挙がるのは次のようなものです。

  • 賃金や休日など、雇用条件を見直す
  • 働き方を柔軟にする(短時間勤務、シフトの選択肢を増やす)
  • シニアの方、外国人材、県外からのUIターンなど、採用の対象を広げる
  • 一部の業務を外注する
  • 今いる社員の育成に力を入れる

どれも大切な打ち手です。群馬県でも、賃上げを後押しする制度が動いています(ぐんま賃上げ促進支援金 第2期|1月31日までの申請条件)。

ただ、どの打ち手を選ぶにしても、その前に1つ確かめておきたいことがあります。「足りないのは、何の仕事の、何時間分なのか」です。

ここが曖昧なまま募集を出すと、求人票には「事務スタッフ1名」「現場作業員1名」としか書けません。応募する側から見ると、何をする仕事なのか、自分にできるのかが分かりません。母数が減っている今、そのわずかな差で応募が別の会社へ流れてしまいます。

そこで当社がおすすめしているのが、次の3つを数えることです。

事務所でスマートフォンに話しかけながらパソコンに入力するスタッフ(画像はAI生成のイメージです)
事務所でスマートフォンに話しかけながらパソコンに入力するスタッフ(画像はAI生成のイメージです)

採用の前に数える3つ

1. 欠けた1人の仕事を、作業ごとに時間で書き出す

まず、辞めた方、または足りないと感じている1人分の仕事を、作業の単位で書き出し、それぞれに1か月の時間を付けます。

書き出すときのコツは3つあります。

  • 「事務」「現場」のような大きな言葉で書かない。「注文書を基幹システムへ入力する」「見積を作る」「月末に勤怠を集計する」のように、動詞で書く
  • 時間は「1回あたり何分 × 月に何回」で出す。感覚で「半日くらい」と書かない
  • 本人に聞ける場合は、本人に聞く。辞めたあとなら、引き継いだ人に1週間だけメモを取ってもらう

たとえば、こんな表になります(数字は説明用の例です)。

作業1回あたり月の回数月の時間
注文書を基幹システムへ入力30分20回10時間
見積の作成60分15件15時間
月末の勤怠集計3時間1回3時間
電話の一次対応5分120件10時間
お客様先への納品・打ち合わせ2時間20回40時間

ここまで書くと、「1人足りない」が「月に何時間、何の作業が足りない」に変わります。

2. その中から「人でなくてもいい作業」に印を付ける

次に、書き出した作業のうち、人がやらなくても回る作業に印を付けます。目安は次の3つです。

  • 紙やPDFから、別のシステムやExcelへ写している(転記)
  • 毎月同じ手順で、数字を集めて表にしている(集計)
  • 同じ質問に、同じ答えを返している(一次対応)

反対に、お客様と顔を合わせる仕事、現場で手を動かす仕事、判断が要る仕事は、人の仕事として残します。

当社が群馬県内などでお手伝いしてきた事例では、印を付けた作業の時間が、次のように変わりました。

業種(所在地)印を付けた作業変わった時間
電気設備工事会社(桐生市)見積の作成1件あたり60分 → 約5分
産業機械商社の支店注文書の転記毎日30分 → 約5分
会計・社労士事務所勤怠から給与ソフトへの入力100人分で2時間 → 約5分
就労支援施設(足利市・太田市)納品書・勤怠・点呼の転記月 約6時間 → ゼロ
制作会社(高崎市)紙のタイムカードの集計月末の転記作業がゼロ

それぞれの詳しい経緯は、導入事例のページに載せています。見積の事例はこちら、注文書の転記の事例はこちらです。どの会社でも、最初に成果が出たのが「転記」だった理由は、AIで最初に成果が出た業務は「転記」|群馬で支援した6事例の共通点にまとめました。

事務所で伝票を確かめながらスキャナーで読み込む2人のスタッフ(画像はAI生成のイメージです)
事務所で伝票を確かめながらスキャナーで読み込む2人のスタッフ(画像はAI生成のイメージです)

正直に書くと、1人分が丸ごと浮いた例はまだない

ここは誤解のないように書いておきます。

上の表の数字を、1か月の時間に直してみます。注文書の転記は、毎日25分の短縮で、月20日の営業なら月およそ8時間です(当社計算)。就労支援施設の事例は月およそ6時間でした。

フルタイムの社員1人の働く時間を、1日8時間・月20日の月160時間とすると、どちらも1人分には遠く及びません。当社の事例で、1人分の仕事が丸ごと浮いた例は、今のところありません。

それでも数える意味があるのは、次の2つが変わるからです。

  • 募集の形が変わる。転記や集計を外すと、残るのは「お客様先への納品と打ち合わせ、月40時間」のように、時間帯と中身がはっきりした仕事になります。フルタイム1名ではなく、週3日の短時間で探せることもあります
  • 今いる人の残業が減る。月8時間は、1人の残業としては小さくない時間です。欠員を埋めるまでのあいだ、残った人に乗る負担が軽くなります

母数が減っている中では、「フルタイムで何でもできる1名」より、「週3日・午前中・納品と打ち合わせ」のほうが応募してもらいやすいことがあります。

3. 残った仕事で、求人票を書く

最後に、印を付けなかった作業だけで、求人票を書きます。

  • 仕事の中身: 「事務全般」ではなく、残った作業を動詞で並べる
  • 時間: 残った作業の合計が月何時間か。そこから、フルタイムか短時間かを決める
  • 曜日と時間帯: 作業が集中する曜日や時間帯(月末、午前中など)
  • 必要なこと: 運転免許、お客様対応の経験など、残った作業にどうしても要るものだけ

数える前と後で、求人票はたとえばこう変わります(上の例の表をもとにした説明用の例です)。

数える前数えた後
職種事務スタッフ納品・お客様対応スタッフ
仕事の中身事務全般、電話対応、データ入力お客様先への納品と打ち合わせ、見積内容の説明
時間フルタイム週3日・9時から13時
必要なことパソコンの基本操作普通自動車免許

「データ入力」が求人票から消えているのは、その作業を先に仕組みに移したからです。

採用の前に数える3つ。欠けた仕事を時間で書き出す、人でなくてもいい作業に印を付ける、残った仕事で求人票を書く
採用の前に数える3つ。欠けた仕事を時間で書き出す、人でなくてもいい作業に印を付ける、残った仕事で求人票を書く

数えるときに、つまずきやすい点

当社がお手伝いする中で、よく止まる場所を3つ挙げておきます。

時間を測らずに「だいたい」で書いてしまう
感覚でつかんでいる時間と、測った時間は、ずれることが珍しくありません。図面の確認や単価の拾い出しのような、作業の前後にある細かい手間が抜け落ちやすいからです。1週間だけでいいので、作業の開始と終了をメモに残すと、数字が変わります。

「この人にしかできない」で止まってしまう
ベテランの方にしかできない作業ほど、実は手順が決まっていることがあります。見積の事例では、単価をマスタとして持たせることで、拾い出しの手作業がなくなりました。属人的に見える作業も、一度書き出してみる価値があります。

全部を一度に変えようとしてしまう
印を付けた作業が5つあっても、一度に全部を変える必要はありません。いちばん時間のかかっている1つから始めて、効果を確かめてから次に広げるほうが、現場の負担も少なく済みます。

数え方の手順は、無料の業務診断15分で、どの業務が月いくらかを数字にする方法にも詳しく書きました。

この記事で扱っていないこと・ご注意

  • 有効求人倍率などの数字は、2026年8月分の速報です。9月分は10月末ごろに群馬労働局から公表される見込みです(例年の公表時期からの当社の見立てです)
  • ハローワークを通さない求人(民間の求人サイトなど)は、この統計に含まれていません
  • 「数える3つ」は当社の業務改善のご相談で使っている考え方で、採用がうまくいくことを保証するものではありません
  • 雇用条件の見直しや、労働時間の扱いについては、社会保険労務士にご相談ください

出典(2026年10月15日時点)

この記事の数字は、次の一次情報を2026年10月15日に開いて確認したものです。

まとめ:「1人足りない」を「月何時間、何の作業」に直す

  • 群馬県の有効求人倍率は1.28倍(2026年8月・季節調整値)。全国1.18倍、茨城1.13倍、栃木1.09倍を上回る
  • 求人が急に増えたのではなく、仕事を探す人が5か月連続で減っていることが重い
  • 採用の前に数えるのは3つ。①欠けた仕事を作業ごとに時間で書き出す ②人でなくてもいい作業に印を付ける ③残った仕事で求人票を書く
  • 当社の事例で、1人分が丸ごと浮いた例はまだない。それでも、募集の形と、残った人の負担が変わる
  • 求人票は「事務全般」ではなく、残った作業を動詞で書く

募集を出す前に、まず1週間だけ、欠けた仕事の時間をメモに残してみてください。足りないものの形が見えると、打ち手を選びやすくなります。

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