群馬県の「ぐんま賃上げ促進支援金」は、従業員の基本給を5%以上引き上げた県内の中小企業に、従業員1人あたり5万円を支給する制度です。小規模な事業者なら、3%以上の引上げで1人あたり3万円の特例も使えます。
いま受け付けているのは第2期で、2026年9月1日から12月31日までの賃上げが対象です。申請の受付は2027年1月31日(日曜日)までとされています。
ただ、この記事を書くために県の特設サイトを開いたところ、いちばん上にこう出ていました。「予算13.2億円のうち、申請受付が9億円を超えました」(2026年10月6日に確認)。募集要項には「予算額に達した場合は、前倒しで終了します」とあります。期限は1月31日ですが、そこまで受付が続くとは限りません。
もう1つ、計算してみて気づいたことがあります。群馬県の最低賃金は10月3日に1,063円から1,120円になりました。この引上げ幅は5.36%です。つまり、最低賃金に合わせて時給を上げた会社の中には、すでに「5%以上」の線を越えている従業員がいるかもしれません。
この記事では、第2期の条件と、申請の前に確認しておきたい点を、県の一次情報のリンクつきでまとめます。
金属加工の町工場で、作業着の社長と若手の従業員が機械の前で立ち話をしている
この記事の目次(7項目)
ぐんま賃上げ促進支援金 第2期の対象と金額
まず全体を表にします。数字はすべて群馬県のページと特設サイト、募集要項から取ったものです。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 対象になる賃上げの期間 | 2026年9月1日から12月31日まで |
| 申請の受付 | 2026年9月1日から2027年1月31日(日曜日)まで。予算に達したら前倒しで終了 |
| 支給額(通常) | 基本給を5%以上引き上げた従業員1人あたり5万円 |
| 支給額(小規模な事業者の特例) | 基本給を3%以上引き上げた従業員1人あたり3万円 |
| 上限(通常) | 1期あたり最大40人分(法人番号単位の申請/1事業所200万円が上限) |
| 上限(特例) | 1期あたり最大20人分(法人番号単位の申請) |
| 対象の事業者 | 県内に事業所がある中小企業等。個人事業主、医療法人、社会福祉法人、農業法人なども対象 |
| 対象の従業員 | 県内の事業所に勤務する正規・非正規の従業員。非正規は週の所定労働時間が20時間以上 |
| 申請の方法 | 特設サイトからのオンライン申請(郵送は不要) |
上限の書き方は、県のページの原文どおりです。よくある質問(FAQ)には「法人番号単位での申請」「支給上限額は、法人番号または個人事業主単位で1期あたり200万円」と書かれています。複数の店舗や事業所がある会社は、店舗ごとに200万円ではない点にご注意ください。
全員を上げていなくても、上げた人の分だけ申請できる
この制度で使いやすいのは、従業員全員の賃上げを求めていないところです。特設サイトにはこういう例が載っています。
従業員数20人の事業所で、5人の従業員の賃金をそれぞれ5%以上引き上げた場合は、5人分の支援金が申請可能
つまり、条件を満たした従業員を1人ずつ数える仕組みです。FAQでも「従業員1名分から」申請できるとされています。
小規模な事業者は、3%以上で1人3万円
「小規模な事業者」に当てはまる人数は、県の資料で次のように示されています。
| 業種 | 従業員の数 |
|---|
| 製造業その他 | 20人以下 |
| 卸売業 | 5人以下 |
| サービス業(宿泊業・娯楽業以外) | 5人以下 |
| サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
| 小売業 | 5人以下 |
医療法人や社会福祉法人、農業法人、一般社団法人などは、従業員数が20人以下であれば特例の対象になるとされています。
小規模な事業者でも、5%以上引き上げた従業員の分は通常の5万円で申請できます。5%以上の人は5万円、3%以上5%未満の人は3万円、という使い分けです。ただし同じ従業員について両方を申請することはできません。また、通常の申請と特例の申請は、特設サイトが別々に用意されています。
商店街の小さな青果店で、店主がレジ横の帳面を見ながら電卓をたたいている
5%以上・3%以上の賃上げは「基本給」で判定される
ここからが、申請で引っかかりやすいところです。
比べるのは基本給だけ。手当は含まない
募集要項では、この制度でいう「賃金」を「基本給をいう(諸手当は除く)」と定めています。FAQには、役職手当などの固定的な手当も含まないと書かれています。
「手当を足して、総額で5%上げた」という上げ方では、条件を満たしません。賃金台帳の基本給の欄だけで、賃上げした月とその前の月を比べます。定期昇給かベースアップかは問われません。
FAQから、ほかに判断が分かれそうな点を拾っておきます。
- 日勤と夜勤で基本給の時給が2種類ある場合、どちらか一方だけが5%以上でも対象にならない
- 期間内に2回に分けて上げ、合計で5%以上になった場合は、2回目の賃金を支給した段階で対象になる。ただし期間の外の賃上げを足すことはできない
- パートから正社員になって賃金が上がっただけでは、賃上げとはみなされない
- 役員や、個人事業の専従者は対象外。役員名簿に載っていても、雇用契約があり給与額が確認できる場合は対象になる
10月3日の引上げ幅は5.36%。当社で計算した早見表
群馬県の最低賃金は、10月3日に1,063円から1,120円になりました。1,120÷1,063は約1.0536で、5.36%の引上げです。
では、いまの時給をいくらにすれば5%・3%に届くのか。当社で計算した早見表です。1円未満は切り上げています。
| 引上げ前の基本給 | 5%以上になる金額 | 3%以上になる金額 |
|---|
| 時給1,063円 | 1,117円以上 | 1,095円以上 |
| 時給1,070円 | 1,124円以上 | 1,103円以上 |
| 時給1,080円 | 1,134円以上 | 1,113円以上 |
| 時給1,100円 | 1,155円以上 | 1,133円以上 |
| 時給1,150円 | 1,208円以上 | 1,185円以上 |
| 時給1,200円 | 1,260円以上 | 1,236円以上 |
| 月給200,000円 | 210,000円以上 | 206,000円以上 |
| 月給250,000円 | 262,500円以上 | 257,500円以上 |
逆から見ると、時給を1,120円にした場合、引上げ前が1,066円以下なら5%以上、1,087円以下なら3%以上になります。
ここで、大事な注意を書きます。最低賃金の改定に合わせた引上げが、この支援金の対象になるかどうかは、募集要項にもFAQにも、はっきりした記載が見当たりませんでした(2026年10月6日に確認)。除外するという記載もありません。当社には判断できない点ですので、「うちのパートさんは対象になるか」は、特設サイトの問い合わせフォームか事務局のコールセンターで確認してください。端数の扱いも公表資料には書かれていないため、ぎりぎりの金額になる場合は同じく確認をおすすめします。
なお、非正規の従業員は週の所定労働時間が20時間以上であることが条件です。扶養の範囲で働くパートさんの時間数については、時給1,120円で計算した扶養内の早見表(群馬版)にまとめています。
1人5万円は、賃上げ1年分のどれくらいに当たるか
これも当社の試算です。仮に時給を57円上げた従業員が対象になった場合、会社が1年間に追加で払う賃金と5万円の関係は次のとおりです(52週で計算。社会保険料の会社負担は含めていません。対象になるかどうかは、上に書いたとおり事務局への確認が必要です)。
| 週の所定労働時間 | 1年間の賃金の増加 | 5万円が占める割合 |
|---|
| 週20時間 | 59,280円 | 約84% |
| 週30時間 | 88,920円 | 約56% |
| 週40時間 | 118,560円 | 約42% |
支援金は1回きりで、賃上げした賃金は翌年以降も続きます。賃上げの原資を出してもらえる制度ではなく、最初の1年の負担を軽くする制度だと捉えるのが実態に近いと思います。
食品工場の事務室で、事務担当の女性が紙の台帳をめくりながらパソコンに向かっている
申請前に確認する5つの条件
金額と賃上げ率のほかに、見落としやすい条件が5つあります。
1. 法人は「パートナーシップ構築宣言」が必要
法人の場合、パートナーシップ構築宣言の宣言企業であることが条件です。これは、取引先との共存共栄や、価格の決め方についての方針を自社で宣言し、専用のサイトに登録する国の仕組みです。
FAQでは、支援金の申請までに宣言の申請をしておくこととされています。県のリーフレットには、申請の時点で会社名がまだ公開されていない法人は、宣言の事務局からの受付完了メールなどを添付すればよく、「登録が完了していなくても申請できます」と書かれています。個人事業主には、この条件はありません。
2. 引き上げた賃金を、1か月以上支払った実績が必要
賃上げを決めただけでは申請できません。募集要項に「最低1月以上、引き上げ後の賃金支給実績があること」とあります。FAQによると、先に申請書だけ出しておく「予約」も受け付けていません。
期間の判定は、給与の計算期間で見ます。FAQには、計算期間が2026年12月11日から2027年1月10日(1月に支給)の賃上げは第2期に当たる、という例があります。12月に賃上げして、その分の給与を翌月に支払う会社は、最初の支給が1月になるので、1月31日の締切までの日数がかなり短くなります。
3. 引き上げた賃金の水準を1年間続ける
条件には「引き上げ後の賃金水準を1年間継続する見込みがあること」とあります。FAQでは、対象の従業員が1年以内に退職した場合について、自主退職なら返還は不要、会社都合なら返還を求める可能性がある、とされています。事業の縮小で賃金を下げた場合も、返還の対象になり得ます。
4. 賃上げを目的とする他の助成金と重ねて受け取れない
FAQは、重複に当たる制度を「賃上げに要した経費(人件費)に対して補助されるもの」と説明しています。賃上げが要件になっていても、設備投資などの費用の一部を補助する制度は重複としない、という扱いです。
ただし、これは「ぐんま賃上げ促進支援金」の側の扱いです。FAQにも、他の制度の側でこの支援金を重複とみなすかどうかは、その制度を所管する官庁に問い合わせるよう注記があります。介護報酬や診療報酬の処遇改善の加算を受けている事業所は、別の計算の決まりがあるので、FAQの該当箇所を必ずお読みください。
5. 添付する書類は3つ。法人は宣言の書類が加わる
- 対象の従業員の、最新の労働条件通知書または雇用契約書の写し
- 賃金台帳などの写し(賃上げ月と、その前の月の基本給を比べられるもの)
- 振込先の口座が分かる通帳の写しなど
労働条件通知書には、氏名、勤務地、正規か非正規かの別、非正規の場合は週の所定労働時間が書かれている必要があります。時給を上げたときに通知書を作り直していない会社は、ここで止まります。 申請から振込までは、およそ4週間の予定とされています。
沼田市・渋川市・東吾妻町・大泉町の事業所には、市町による上乗せがあります。県への申請と同時に手続きできますが、金額や条件は市町ごとに違うため、出典に載せた各市町のページをご確認ください。
事務所の窓際で、経営者の男性がノートパソコンを前に書類を1枚ずつ確かめている
対象者の洗い出しは、賃金台帳に1列足せば済む
ここまで読んで「うちは誰が対象になるのか」と思われた方へ。確認の作業そのものは単純です。
1. 賃金台帳から、従業員ごとに「前の月の基本給」と「賃上げした月の基本給」を並べる
2. 「賃上げした月 ÷ 前の月 − 1」の列を足す
3. 5%以上、3%以上5%未満、それ以外に分ける
4. 非正規の方は、労働条件通知書の週の所定労働時間が20時間以上かを見る
給与ソフトから台帳をCSVで取り出せるなら、表計算ソフトに貼って式を1つ入れるだけです。新しいソフトを買う話ではありません。
手間がかかるのは、人数が多い会社と、時給の人と月給の人が混ざっている会社、手当と基本給の欄が台帳の上で分かれていない会社です。当社は、給与や勤怠のデータを集計する仕組みづくりをお手伝いしています。賃上げ率の一覧も、同じ延長で作れます。
当社がお手伝いできるのは、集計と書類の準備を楽にするところまでです。 申請の代行はしておらず、支援金を受け取れるかどうかをお約束することもできません。対象になるかの判断は事務局へ、就業規則や労働条件通知書の整え方は社会保険労務士へご相談ください。
▼ 業務システム・集計の仕組みづくりについて
https://www.umeocreate.com/system.html
▼ まずは無料の簡易業務診断から
https://www.umeocreate.com/dx-karte.html
料金は全て一例で、ご予算に合ったプランをご提案できます。
この記事で扱っていないこと・ご注意
- 最低賃金の引上げに合わせて設備投資をした会社向けの「業務改善助成金」は国の制度で、この支援金とは別のものです。群馬での今年度の申請は10月2日で終わっています。くわしくは群馬の最低賃金と助成金の記事に書きました
- 第1期(2026年1月1日から8月31日までの賃上げ)の申請は、9月30日で受付が終わっています
- 受け取った支援金の税務上の扱いは、税理士または税務署へご確認ください。中小企業向けの賃上げ促進税制と併用する場合の計算も、FAQでは所管の税務署に確認するよう案内されています
- この記事の早見表と試算は、公表されている条件をもとに当社で計算した目安です。審査の結果を保証するものではありません
出典(2026年10月6日時点)
この記事の内容は、次の一次情報を2026年10月6日に開いて確認したものです。予算の状況や受付の期限は変わることがあるので、申請の前に必ずリンク先をご確認ください。
まとめ:1月31日を待たず、対象者を先に数える
- ぐんま賃上げ促進支援金の第2期は、2026年9月1日から12月31日までの賃上げが対象。基本給5%以上で1人5万円、小規模な事業者は3%以上で1人3万円
- 申請の受付は2027年1月31日まで。ただし予算13.2億円のうち申請受付が9億円を超えており(10月6日確認)、予算に達すると前倒しで終わる
- 判定は基本給だけ。手当は含まない。非正規は週20時間以上
- 法人はパートナーシップ構築宣言が必要。引き上げた賃金を1か月以上支払ってから申請する
- 10月3日の最低賃金の引上げ幅は5.36%。対象になるかは事務局に確認を
賃上げは、もう済ませた会社が多いはずです。あとは、済ませた賃上げが条件に当てはまっているかを数えるだけです。賃金台帳に1列足して、5%以上の人が何人いるか。まずはそこから確かめてみてください。
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UMEO CREATE(ウメオクリエイト)では、群馬県(高崎・前橋・太田・伊勢崎・吉岡町など)を中心に、中小企業や個人事業主・ひとり社長様向けの「AI導入・業務自動化・DX伴走コンサルティング」を行っています。
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