2026.09.21

AIで最初に成果が出た業務は「転記」|群馬で支援した6事例の共通点

AI導入業務効率化群馬

AIで最初に成果が出た業務は「転記」|群馬で支援した6事例の共通点

「AIを使ってみたい。でも、うちの会社で最初に何をやらせればいいのか分からない」

群馬県内の経営者の方とお話しすると、ほぼ毎回この質問をいただきます。ChatGPTやGeminiを触ってはみたものの、仕事のどこに当てればいいのかが見えず、そのまま止まっている。そういう会社は珍しくありません。

そこで今回は、一般論ではなく、私が実際にお手伝いした事例を並べて答えてみることにしました。UMEO CREATEの導入事例のページ載せている6件を、「最初に成果が出た業務は何だったか」という一点で振り返ったのです。

並べてみて、自分でも少し驚きました。6件のうち5件で、最初に成果が出たのは「転記」でした。 紙や別の画面にある数字や文字を、人が手で打ち直している作業です。残りの1件は、あえて何も作らなかった事例でした。

この記事では、その6件の中身と、なぜ転記が最初の一手に向いているのか、そして自社の中の転記を見つける法をお伝えします。

電気工事会社の事務所で、社長と事務員が紙の書類とノートパソコンを見比べながら話している様子
電気工事会社の事務所で、社長と事務員が紙の書類とノートパソコンを見比べながら話している様子

群馬で支援した6事例で、AIが最初に成果を出した業務

まず、6件を一枚の表にまとめます。社名は掲載のご許可をいただいた会社だけで、それ以外は業種でご紹介しています。数字はいずれも導入前後の作業時間をもとにした概算です。

会社地域最初に手を付けた業務導入前 → 導入後
朝倉電設株式会社様群馬県桐生市見積書づくり(図面を見ながらの手入力)1件60分 → 約5分
株式会社クアッズ様群馬県高崎市紙のタイムカードからの勤怠の転記月末の集計作業 → ゼロ
一般社団法人 徳栄会様群馬県太田市・栃木県足利市納品書・請求・勤怠の転記月 約6時間 → ゼロ
産業機械商社様支店FAXとPDFで届く注文書の転記毎日30分 → 約5分
会計・社労士事務所様顧問先の勤怠を給与ソフトへ手入力100人分で2時間 → 約5分
金属加工メーカー様群馬県AI勉強会(開発はしていない)止まっていたAI活用が再開

業種はばらばらです。電気計装工事、福祉事業所、機械の商社、士業の事務所、金属加工。それでも、上の5件は「どこかにある情報を、人が見て、別の場所に打ち込む」いう同じ形の作業から始まっています。

とえば産業機械商社様では、注文書がFAXとPDFで届き、それを基幹システムへ毎日30分かけて手入力していました。徳栄会様では、紙の勤怠と送迎の点呼を月末に転記するだけで、月に5時間から7時間が消えていました。クアッズ様も、紙のタイムカードを集計のたびに転記していました。

どの会社も、最初から「AIで何か新しいことをしよう」と考えていたわけではありません。「この打ち直しを何とかしたい」いう、ごく具体的な困りごとが出発点でした。

なぜ「転記」がAI導入の最初の一手に向いているのか

転記から始めると成果が出やすい理由は、3つあると考えています。

1. かかっている時間を、前後で数えられる

転記は「1件何分」「毎日何分」と、時間をそのまま数えられる作業です。だから導入の前と後を同じものさしで比べられます。

「AIを入れて何となく楽になった気がする」では、社内で続けるかどうかの判断ができません。一方で「毎日30分が約5分になった」と言えれば、誰が聞いても効果が分かります。最初の一手で数字が出ると、次の業務に広げるときの説得材料にもなります。

2. 正解があるので、AIの違いを人が確かめられる

AIは便利ですが、間違えることがあります。紙の書類を読み取らせると、数字を1桁読み違えることも実際にあります。

その点、転記には「元の紙」という正解あります。AIが打ち込んだ結果を元の書類と突き合わせれば、合っているかどうかがすぐに分かります。正解の決まっていない文章づくりや企画と比べて、AIを安心して任せやすいのです。

3. 誰の判断も奪わない

見積の金額を最終的に決めるのは社長ですし、加工の段取りを決めるのは職人さんです。転記の自動化は、そうした人の判断には手を付けませんなくなるのは「見て、打ち直す」という手間だけです。

だから現場の反発が起きにくいのです。朝倉電設様の見積システムでは、旧システムの操作をそのまま踏襲し、現場が操作を覚え直さなくて済む形にしました。変わったのは、単価の拾い出しや計算を手作業でしなくてよくなったことです。

紙の注文書の行を指でなぞりながら、キーボードで打ち込んでいる手元
紙の注文書の行を指でなぞりながら、キーボードで打ち込んでいる手元

自社の「転記」を見つける3つの質問

「うちには転記なんて無いと思う」という方も、次の3つの質問を社内で投げてみてください。たいてい、どこかで手が挙がります。

質問1. 同じ数字を2回打っていませんか

見積書に打った金額を請求書にも打つ。勤怠の表に打った時間を給与ソフトにも打つ。同じ数字を2か所に入れているなら、それは転記です。

会計・社労士事務所様の事例がまさにこれでした。顧問先から届く勤怠を給与ソフトへ手で入力していて、100人規模で約2時間かかっていました。勤怠データを給与ソフトの取込形式へ自動で変換する仕組みにして、この工程が約5分になりました。

質問2. 紙で届いたものを、画面に打ち込んでいませんか

FAXの注文書、手書きの日報、紙のタイムカード、取引先の納品書。紙で受け取って、パソコンに入れ直している作業は、AIの読み取りが最も効きやすい場所です。

質問3. 月末や月初に、特定の人だけが忙しくなっていませんか

転記は、締め日の前後にまとめて発生しがちです。徳栄会様でも、納品書と請求の作業が月末に集中し、その時期はパソコンに向かう時間が一気に増えていました。

「月末だけあの人に話しかけにくい」という状態があれば、その人の机の上に転記がある考えてまず間違いありません。

転記の時間を、お金に直してみる

見つけた転記は、時間とお金に直しておくと判断がしやすくなります。

群馬県の最低賃金は、2026年10月3日から時間額1,120円引き上げられます(群馬労働局の発表による)。仮に月6時間の転記があるとすると、最低賃金で計算しても月6,720円、年間で約8万円です。実際の人件費は最低賃金より高いので、本当の負担はもっと大きくなります。

最低賃金の引き上げについては、群馬の最低賃金1,120円と助成金の記事詳しく書いています。

福祉施設の駐車場で、職員が送迎車の横でタブレットを使って点呼をしている様子
福祉施設の駐車場で、職員が送迎車の横でタブレットを使って点呼をしている様子

転記ではなかった1件:あえて「作らない」を選んだ金属加工メーカー

6件のうち、1件だけは転記から始めていません。群馬の金属加工メーカー様の事例です。

この会社は、以前に自分たちでAIを試したものの、うまくいかずに止まっていました。使いたいという方針はあっても、何に使えるかの共通認識が社内にありませんでした。現場の職人さんからは「職人の勘に勝てるわけがない」という声があり、事務の方は書類作業を一人で抱えていました。

ここで私がしたのは、システムを作ることではなく、勉強会を開くことでした。

  • 専門用語を一切使わず、「AIは日本語が通じる新人」という説明から始める
  • 職人向けと事務向けで、それぞれの仕事に当てはめた事例を対比で見せる
  • 就業規則や加工基準を読み込ませて社内の相談窓口にするなど、無料でできる範囲から示す
  • AIエージェントで3Dデータの試作をその場で実演する
  • 最後は「週1回5分だけ触る」「自社の図面を入れて試す」の2ステップに絞って終える

3Dデータの試作の実演には、参加者全員から「ぜひ使ってみたい」という声をいただきました。止まっていた状態から、試してみたい対象が具体的になったのです。

この事例から言えるのは、一度つまずいた会社ほど、いきなり開発しないほうが早いいうことです。社内の共通認識がないまま仕組みを作っても、使われずに終わります。まず全員で「何に使えそうか」をそろえる。転記の自動化は、その後でも遅くありません。

町工場の作業スペースで、職人と事務の方がノートパソコンを囲んでのぞき込んでいる様子
町工場の作業スペースで、職人と事務の方がノートパソコンを囲んでのぞき込んでいる様子

最初の一手で失敗しないための3つのコツ

6件を振り返ると、うまくいった理由にも共通点がありました。

1. 一番時間を取られているところから、小さく始める

産業機械商社様では、週1回訪問して業務を一つずつ棚卸しし、所要時間を実測したうえで、一番時間のかかっていた注文書の転記から着手しました。徳栄会様でも、一度にまとめて作らず、時間を取られている順に広げてきました。

全部を一度に変えようとしない。 一番痛いところを一つだけ直し、効果を確かめてから次へ進む。遠回りに見えて、これが一番早い進め方です。

2. 新しい道具を増やさず、いま使っているものに乗せる

クアッズ様の勤怠は、「LINEで打刻できたら楽だよね」という一言から始まりました。専用アプリを配るのではなく、全員がすでに使っているLINEで打刻できるようにしたので、アプリの配布も操作研修も要らず、初日から運用が始まりました。

徳栄会様の仕組みも、普段お使いのGoogle環境の上に作っているため、サーバー費用はかかっていません。新しい道具は、覚える手間そのものが導入の壁になります。

3. 作らずに済むものは、作らない

徳栄会様では、面談の記録を後から辿れないという悩みもありました。ここは開発をせず、すでにある文字起こしツールの活用をご提案しています。

何でも作ればいいわけではありません。既製品で足りるなら、それが一番安くて早い解決です。

正直に書く、転記から始めるのが向かないケース

最後に、転記から始めるのが合わない場合も書いておきます。

  • そもそも転記がほとんどない会社すでにデータが一つのシステムにまとまっているなら、別の業務から考えたほうが効果が出ます
  • 件数が極端に少ない転記月に数件、数分で終わる作業なら、仕組みを作る手間のほうが大きくなります
  • 社内でAIへの不信感が強い会社金属加工メーカー様の例のように、まず共通認識をそろえるところから始めたほうがうまくいきます

どこから始めるべきかは、会社ごとに違います。だからこそ、最初に業務と時間を並べて、どこが一番重いかを確かめることが大切です。

まとめ:AI導入の最初の一手は「打ち直し」を探すことから

  • 群馬で支援した6事例のうち、5件で最初に成果が出たのは「転記」だった
  • 転記は、時間を数えられる・正解がある・人の判断を奪わないので、最初の一手に向いている
  • 自社の転記は、「同じ数字を2回打っていないか」「紙を画面に打ち直していないか」「月末に特定の人が忙しくないか」3つの質問で見つかる
  • 群馬の最低賃金は2026年10月3日から1,120円転記の時間をお金に直すと、手を付ける順番が決めやすい
  • 一度つまずいた会社は、作る前に共通認識をそろえるほうが早い
  • 始めるときは、一番痛いところから小さく・いまある道具に乗せて・作らずに済むものは作らない

「うちの会社の転記はどこにあるのか」「どれから手を付ければいいのか」を一緒に確かめたい方は、UMEO CREATEの無料の簡易業務診断ご利用ください。15分ほどで、どの業務に月いくら掛かっているかを試算します。今回ご紹介した事例の詳しい中身は、導入事例のページ1件ずつまとめています。

出典(2026年9月21日時点)

- 朝倉電設株式会社様 https://www.umeocreate.com/works/estimate-system.html
-
株式会社クアッズ様 https://www.umeocreate.com/works/line-attendance-bot.html
-
一般社団法人 徳栄会様 https://www.umeocreate.com/works/care-attendance.html
-
産業機械商社様 https://www.umeocreate.com/works/branch-dx.html
-
会計・社労士事務所様 https://www.umeocreate.com/works/payroll-automation.html
-
金属加工メーカー様 https://www.umeocreate.com/works/ai-workshop.html


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UMEO CREATE(ウメオクリエイト)では、群馬県(高崎・前橋・太田・伊勢崎・吉岡町など)を中心に、中小企業や個人事業主・ひとり社長様向けの「AI導入・業務自動化・DX伴走コンサルティング」を行っています。

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