太田市DX推進補助金は、太田市内に事業所や工場がある中小企業が、仕事の効率化のためにシステムや省力化機器を入れるとき、費用(税抜き)の2分の1以内・上限100万円を市が補助する制度です。令和8年度分は募集期間が延長され、2026年12月28日(月曜日)午後5時まで受け付けています(市のページは2026年10月1日に更新されています)。
ただ、市のページとパンフレット、Q&Aを通して読んでみると、名前から受ける印象と違う点がいくつかありました。
- 「DX」という名前ですが、クラウドサービスの利用料や、月額・年額で払うサブスクリプションは原則として対象外です
- 対象は建設業・製造業・運輸業・郵便業などに限られ、個人事業主は対象外です
- 締切は12月28日でも、交付決定の前に発注したものは対象になりません。完了の期限は2027年2月26日です
- 発注先は、原則として太田市内の業者です
この記事では、対象になる会社と経費、補助額の早見表、締切から逆算した日程を、太田市の一次情報のリンクつきでまとめます。数字と条件は、すべて2026年10月9日に市の資料を開いて確認したものです。
製造業の作業場で、図面を映したパソコンの横で機械に向かう従業員(画像はAI生成のイメージです)
この記事の目次(9項目)
太田市DX推進補助金の対象者と補助額
まず全体を表にします。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 募集期間 | 2026年12月28日(月曜日)午後5時まで。郵送は12月28日の消印有効。予算に達し次第、受付を終了 |
| 補助額 | 対象経費(税抜き)の2分の1以内。上限100万円。1,000円未満は切り捨て |
| 対象経費の下限 | 補助対象事業費が50万円(税抜き)以上 |
| 対象になる会社 | 太田市内に事業所や工場がある中小企業者 |
| 対象の業種 | 建設業、製造業、運輸業・郵便業を主な事業とする会社。または市内で製品等の開発・製造を行う会社 |
| 対象にならない人 | 個人事業主 |
| 完了の期限 | 交付決定のあとに着手し、2027年2月26日(金曜日)までに完了 |
| 発注先 | 原則として市内業者(太田市内に本店・支店がある事業者) |
| 申請の回数 | 同じ年度に1社1回 |
| 提出方法 | 市役所の窓口へ持参、メール、郵送のいずれか |
対象になるのは4つの業種と、市内でものづくりをする会社
業種は、日本標準産業分類の大分類で決まっています。建設業(大分類D)、製造業(大分類E)、運輸業・郵便業(大分類H)のいずれかを主な事業としている会社、または太田市内で製品等の開発・製造を行っている会社です。
小売業や飲食業、サービス業が主な事業の会社は、市内で製品の開発・製造をしていない限り、この制度の対象には入りません。ここは最初に確かめておきたい点です。
「中小企業者」の範囲は、Q&Aでは、資本金または出資の総額が3億円以下の会社、または常時使用する従業員が300人以下の会社、と説明されています。個人事業主は対象外と、市のページ・パンフレット・Q&Aのすべてに書かれています。
ほかに、次の条件があります。
- 申請の時点で、直近の事業年度の決算書を提出できること
- 市税の滞納がないこと
- 暴力団等でないこと
Q&Aの注意事項には、「市税に未納があると抽選(交付決定)対象となりません」とあります。申請の前に、納め忘れがないかを確かめておくのが安全です。
補助額の早見表(当社で計算)
補助額は「対象経費(税抜き)の2分の1」と「100万円」の、どちらか低いほうです。当社で計算した早見表を載せます。
| 対象経費(税抜き) | 補助額 | 会社の負担(税抜き) |
|---|
| 40万円 | 対象外(50万円未満のため) | 40万円 |
| 50万円 | 25万円 | 25万円 |
| 80万円 | 40万円 | 40万円 |
| 100万円 | 50万円 | 50万円 |
| 150万円 | 75万円 | 75万円 |
| 200万円 | 100万円(上限) | 100万円 |
| 300万円 | 100万円(上限) | 200万円 |
上限の100万円に届くのは、対象経費が200万円のときです。それより大きい投資では、補助の割合は2分の1より小さくなります。消費税は補助の対象に入らないので、会社が実際に払う額は、表の「会社の負担」に消費税を足した金額になります。
金額が動いたときの扱いも、Q&Aに書かれています。
- 交付決定のあとで対象経費が増えても、補助額は増えない
- 対象経費が減って税抜き50万円を下回ると、交付決定は取り消しになる
見積もりが50万円をわずかに超える程度のときは、値引きや仕様の変更で50万円を切らないかに気をつける必要があります。
対象経費ごとの補助額と会社負担の早見表
対象になる経費・ならない経費
この制度でいちばん誤解しやすいのが、何に使えるかです。
運送会社の事務所で、配送ルートを映したパソコンに向かう担当者(画像はAI生成のイメージです)
対象になるもの
市のページでは、対象を「事業の効率化を目的とした、省力化機器や勤怠管理システム等のシステム導入をする際に係る費用」としています。パンフレットに載っている例は次の3つです。
Q&Aには、ソフトウェアをA社から買い、システム開発をB社に頼むような場合も、合算して申請できると書かれています。その場合、見積書はA社・B社それぞれのものが必要です。
対象にならないもの
Q&Aの「補助対象外経費」と市のページの条件を合わせると、対象にならないのは次のとおりです。
| 対象にならない経費 | 根拠 |
|---|
| 交付決定の前に着手(契約)したもの | Q&A 2-2 |
| リースで取得するもの | Q&A 2-2 |
| 中古の設備 | 市のページ、Q&A 2-2 |
| 既存の機器の撤去・除却 | 市のページ、Q&A 2-2 |
| 保守料、サブスクリプションの費用 | Q&A 2-2 |
| システムのアップデートや更新 | Q&A 2-2 |
| クラウドサービスなどのシステム利用料 | Q&A 2-4(原則対象外) |
| パソコンなどのハードウェアだけを買う事業 | 市のページ、Q&A 2-3 |
| Wi-Fiルーターやモデムなど、インターネット環境の機器 | Q&A 2-3 |
パソコンについては、補足があります。ハードウェアだけの購入は対象外ですが、DXのために入れたソフトウェアやシステムを動かすための附属設備として必要なハードウェアは対象になる、とQ&Aに書かれています。
太田市DX推進補助金で対象になる経費と、対象外になる経費の一覧
月額で払うクラウドやAIサービスは、この補助金の外にある
いま会社で使われている業務ソフトの多くは、月額や年額で払うクラウド型です。ChatGPTやGeminiのような生成AIの有料プランも、月ごとの利用料です。
Q&A 2-4は、クラウドサービスについて「システム利用料やサブスクリプションによる経費は原則対象外」としています。保守料も対象外です。つまり、この補助金が出るのは、買い切りのソフトウェア、システムの構築費、機器の購入費のような「最初に1回払う費用」だと読むのが、資料の書き方に沿っています。
「DXの補助金だから、クラウドの会計ソフトやAIの月額料金にも使えるだろう」と考えていた場合は、ここで計画を見直すことになります。自社で考えている内容が対象になるかどうかは、申請の前に市の担当課(産業ミライ推進課)へ確かめてください。
12月28日の締切から逆算する日程
締切まで2か月半以上あるので、まだ余裕があるように見えます。ただ、この制度は「申請したら終わり」ではありません。流れは次のとおりです。
1. 申請書類を出す
2. 市が審査し、交付決定通知書が届く
3. 交付決定のあとで発注・契約する
4. 2027年2月26日までに、設置・納品・検収を終える
5. 完了から30日以内に実績報告書を出す(交付決定を受けた会計年度内の別に定める日があれば、どちらか早い日まで)
6. 市が実績報告を審査し、補助金が振り込まれる
交付決定までは最長1か月程度
Q&A 3-3には、交付決定通知書の送付まで「申請後最長1ヶ月程度かかる場合があります」と書かれています。そして、交付決定の前に発注したものは対象外です。
仮に交付決定まで1か月かかった場合、発注から完了期限の2月26日までに残る日数を、当社で計算しました。
| 申請した日 | 交付決定(1か月後と仮定) | 2月26日までの残り日数 |
|---|
| 10月15日 | 11月15日 | 103日 |
| 11月2日 | 12月2日 | 86日 |
| 12月1日 | 1月1日 | 56日 |
| 12月28日 | 1月28日 | 29日 |
これは「最長1か月程度」をそのまま当てはめた目安で、実際の審査の日数は市が決めます。それでも、締切の当日に申請すると、発注から設置・納品・検収までを1か月ほどで終える計算になります。年末年始をはさむので、機器の納期や、開発にかかる期間によっては間に合わないおそれがあります。
買ってすぐ使える機器と、打ち合わせを重ねて作るシステムでは、必要な期間が大きく違います。見積もりを頼むときに、発注から納品までの日数も一緒に聞いておくことをおすすめします。
「先着順」と「抽選」の両方が書かれている
受付の終わり方については、資料によって書き方が違います。
- 市のページ: 「予算に達し次第、受付を終了します」
- パンフレット: 「先着順で受付。予算に達し次第、受付を終了します」
- Q&A 3-5: 「予算額を上回る申請がある場合、抽選により交付決定事業者を選定します」
延長されたあとの期間が先着順なのか抽選なのかは、当社には判断できません。どちらにしても、12月28日まで受付が続くとは限らないことは共通しています。同じQ&A 3-5には、補助金は申請すれば必ず交付されるものではなく、審査があるとも書かれています。
申請から交付決定、発注、完了、実績報告までの流れと期限
申請に必要な書類と、見落としやすい条件
申請のときに出す書類
工場の事務スペースで、紙の書類を1枚ずつ確かめる事務担当者(画像はAI生成のイメージです)
パンフレットと申請書の記載例にあるチェックリストでは、次の6点です。
1. 太田市DX推進補助金申請書(様式第1号)
2. 直近の決算書
3. 履歴事項全部証明書の写し
4. 導入する機器等の見積書
5. 導入する機器等の仕様書
6. 会社パンフレット
見積書は、令和8年4月1日以降に取ったものであれば、見積書に書かれた有効期限が切れていても有効とされています(Q&A 3-3)。
発注先は原則として市内業者。見積もりは複数取る
発注先は、太田市内に本店か支店がある事業者が原則です。例外として、市内業者では施工できないソフトウェアの開発等と、市内業者では取り扱いのない設備等は、市外の事業者に発注できるとされています。
当社UMEO CREATEの所在地は北群馬郡吉岡町で、太田市内に本店も支店もありません。ですので、当社への発注は原則には当てはまらず、例外に当たるかどうかは市の判断になります。正直に書いておきます。
もう1つ、Q&A 4-3には「複数見積を徴取したうえで、業者選定をしてください」とあります。1社だけに見積もりを頼んで申請する進め方は、想定されていません。
支払い方法と、実績報告で止まる点
- 支払いは、基本的に現金または現金振り込みが対象(Q&A 4-2)。クレジットカードで払う予定の場合は、事前に市へ確かめてください
- 領収書の宛名は、申請者と同じ法人名にする
- インターネットバンキングで振り込んだ場合は、振込が完了したことが分かる書類(入出金明細など)も出す
- 実績報告には、請求書の写し、領収書の写し、完成写真などを添える
- 実績報告は、請求書・納品書または事業完了報告書などの日付から30日以内。30日を超えると、補助金の支払いができないことがあるとされています
補助金は、事業が終わって実績報告を出したあとに振り込まれます。いったん全額を自社で払う必要があるので、資金繰りの予定にも入れておいてください。
他の補助金とは、同じ経費で重ねられない
市のページには「同一の事業計画で国、県、市、民間団体、企業等からの補助を受けていない事業」とあり、Q&A 3-4には「同一の対象経費について、複数の補助金を利用することができません」と書かれています。国の補助金などで同じ経費を申請している場合は、どちらを使うかを決める必要があります。
なお、昨年度にこの補助金を使った会社も、令和8年度は申請できるとされています。ただし、令和9年度以降は運用が変わる可能性がある、という注記がついています(Q&A 2-5)。
申請書は「導入前の作業時間」を数字で書かせる
物流会社の事務所で、壁の予定表の前に立って段取りを確かめる管理者(画像はAI生成のイメージです)
ここからは、申請書の記載例を開いて気づいたことです。
申請書(様式第1号)の「補助事業の目的及び内容」には、次の3つの欄があります。
記載例には、「数字を用いて、具体的に記載」と注意書きが入っています。つまりこの補助金は、「便利になりそうだから入れたい」ではなく、「いま何時間かかっている作業が、何時間になる見込みか」を書くことを求めています。
これは、当社が業務システムを作るときに見ている数字と同じです。たとえば、群馬県内の電気設備工事会社様では、図面を見ながら手で入力していた見積書の作成が、1件あたり60分から約5分になりました(実績ページに掲載しています)。「60分」という導入前の数字があるから、「約5分」の意味が伝わります。導入前を数えていなければ、効果を数字で言うことはできません。
導入前の作業時間は、次の順番で出せます。
1. 効率化したい作業を1つに絞る(見積書の作成、日報の集計、勤怠の締めなど)
2. その作業を、1回あたり何分かかるか、実際に計る。記憶ではなく、時計で計る
3. 月に何回あるかを数える
4. 「1回の分数 × 月の回数」で、月あたりの時間にする
5. その作業をしている人の時給をかけると、月あたりの金額になる
この数字があれば、申請書の欄が埋まるだけでなく、補助金がなくても投資する価値があるかを自分で判断できます。月に2時間しかかかっていない作業に100万円のシステムを入れるのは、半分が補助されても割に合いません。
数え方は、無料の業務診断15分で、どの業務が月いくらかを数字にする方法にくわしく書きました。
当社がお手伝いできるのは、作業時間を数えて、どの業務から手を付けるかを整理するところです。 申請書の作成や提出の代行はしておらず、補助金を受け取れるかどうかをお約束することもできません。対象になるかどうかの判断は、太田市の産業ミライ推進課へご確認ください。
▼ 無料の簡易業務診断(15分)
https://www.umeocreate.com/dx-karte.html
料金は全て一例で、ご予算に合ったプランをご提案できます。
太田市以外の会社、対象外の業種の会社は
この補助金は太田市の制度なので、事業所が太田市内にない会社は使えません。業種が合わない会社や、個人事業主の方も対象外です。
群馬県内の会社が使える制度は、市町村ごと、時期ごとに違います。当社のブログでは、次の記事で県内の制度と相談先を扱っています。
3本目は、補助金の条件をAIに聞くときの注意点です。この記事を書く前に検索で調べたところ、太田市DX推進補助金の公募期間の終わりを、市のページの12月28日ではなく「2026年5月8日」と表示している紹介サイトがありました(2026年10月9日に確認)。締切と条件は、必ず市のページで確かめてください。
この記事で扱っていないこと・ご注意
- この記事は、2026年10月9日に太田市の公開資料を読んでまとめたものです。予算の残りや受付の状況は、資料には載っていません
- 申請書の様式、実績報告書の様式、記載例は、市のページからダウンロードできます
- 補助金の会計・税務上の扱いは、税理士または税務署へご確認ください
- 早見表と日程の表は、公表されている条件をもとに当社で計算した目安です。審査の結果や日数を保証するものではありません
出典(2026年10月9日時点)
この記事の内容は、次の一次情報を2026年10月9日に開いて確認したものです。募集期間や条件は変わることがあるので、申請の前に必ずリンク先をご確認ください。
まとめ:締切より先に、対象かどうかと納期を確かめる
- 太田市DX推進補助金は、対象経費(税抜き)の2分の1以内・上限100万円。対象経費は50万円以上
- 対象は、太田市内に事業所や工場がある建設業・製造業・運輸業・郵便業の中小企業と、市内で製品等の開発・製造を行う会社。個人事業主は対象外
- クラウドの利用料・サブスクリプション・保守料・リース・パソコンだけの購入は対象外
- 募集は2026年12月28日午後5時まで。ただし予算に達し次第終了
- 発注は交付決定のあと。完了は2027年2月26日まで。交付決定までは最長1か月程度かかる場合がある
- 発注先は原則として市内業者。見積もりは複数取る
- 申請書には、導入前と導入後の作業時間を数字で書く
申請を考えている会社は、まず「自社の業種が対象か」「入れたいものが買い切りの費用か」「2月26日までに納品できるか」の3つを確かめてみてください。そのうえで、効率化したい作業に、いま月に何時間かかっているかを計る。ここまで済んでいれば、申請書の大事な欄はほぼ埋まります。
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