2026.11.02

属人化を防ぐAI活用|「あの人しか分からない仕事」を3分の動画で残す5つの使い方

業務効率化動画自社の実践

属人化を防ぐAI活用|「あの人しか分からない仕事」を3分の動画で残す5つの使い方

「それは○○さんに聞かないと分からない」

社内でこの言葉が出たら、その仕事は属人化しています。発注先の使い分け、急ぎの注文の見分け方、機械の段取り、社内システムの細かい操作。どれも毎日回っているのに、手順がその人の頭の中にしかありません。

その人が休むと止まり、辞めると消えます。

当社(UMEO CREATE)は、群馬で代表ひとりでやっている会社です。中小企業やひとり社長のAI導入・業務の仕組みづくりをお手伝いしています。

この記事では、AIを使うと、頭の中にある仕事の手順を「3分ほどの動画」と「手順書」に残せるようになった、という話をします。当社が自社の仕事で作った見本を見せながら、属人化を防ぐ使い方を5つ紹介します。

作業台の横に立てたスマホの手順動画を見ながら、部品を治具に置く若手の作業者(写真はAIによるイメージです)
作業台の横に立てたスマホの手順動画を見ながら、部品を治具に置く若手の作業者(写真はAIによるイメージです)
この記事の目次(7項目)

技能継承が「うまくいっている」会社は2%

先に、数字をひとつ紹介します。

労働政策研究・研修機構(JILPT)が2026年5月に発表した製造業の調査では、技能継承が「うまくいっている」と答えた会社は1.9%でした。「ややうまくいっている」を足しても33.3%、3社に1社です(金属製品・機械・電機など11業種、従業員30人以上の会社のうち、技能継承が必要と答えた4,262社)。

同じ調査で、うまくいっている会社(1,421社)が挙げた理由の1位は「計画的にOJTを実施しているから」(40.4%)でした。

つまり、特別な道具より先に「教え方を決めて、繰り返し教えられる形にする」ことが効いています。AIが役に立つのは、この「繰り返し教えられる形」を作るところです。

AIで、ここまでできるようになった

少し前まで、手順を動画にするには、撮影して、編集して、ナレーションを録る必要がありました。1本作るのに数日、直すときはまた撮り直しです。

いまは、次のことができます。

  • 台本を書くと、画面の動き・ナレーション・字幕まで自動で作れる。 当社の見本は、カメラでの撮影を一度もしていません。画面は架空のデータで表示したものを使い、動きや字幕はプログラムで付け、声は合成音声です
  • 直すときは、台本の1行を書き換えて作り直すだけ。 手順が変わっても、撮り直しはいりません
  • 画面に出す会社名や数字は、架空のものに差し替えられる。 お客様の名前が映る心配がありません
  • 作業を撮った動画から、手順書の下書きをAIに作らせることもできる。 ただし、動画だけだと物の名前を外します(当社の試作では、治具を「白い台紙」と書きました)。作業する人数・係・物の名前を数行添えると、実用的な骨組みになりました

当社の場合、型ができてからは、3分弱の動画1本を、直しを含めて1時間半ほどで作れています。

属人化を防ぐ5つの使い方

1. 発注・受注の管理を「見える化」して、使い方を3分で伝える

「どこに何を頼んだか」「どの注文が急ぎか」が、担当者の頭やホワイトボードの中にある。いちばん多い属人化です。

当社は自社の発注を、1つの画面(発注ボード)で管理しています。発注書の作成から、PDFにしてメールで送るところまでがつながっています。その使い方を、2分29秒の動画にしました。

見本:発注ボードの解説動画(2分29秒・ナレーションは合成音声・画面の社名や金額は架空です)

仕組みを作っても、使い方が担当者しか分からなければ、また属人化します。仕組みと説明動画をセットで渡すと、次に入った人も同じ動画から覚えられます。

この動画は、お客様への提案にも使っています。20ページの提案書より、3分の動画のほうが見てもらいやすいからです。

2. OJTの手順動画にする

新人に同じ説明を何度もしている。教える人によって言うことが違う。そんな職場では、1つの台本から「手順動画・投影資料・確認表」を同じ番号で作るやり方が使えます。

作り方は、別の記事で見本つきで詳しく書きました。

OJTの動画マニュアルの作り方|台本1つで投影資料と確認表まで

3. 作業手順書を、写真と動画つきにする

ベテランの段取りやコツは、紙の手順書では伝わりにくいものです。写真に「ここを見る」の枠を付け、動画で手の動きを見せると、言葉にしにくい部分まで残せます。

手順書そのものがまだ無い場合は、先にこちらをどうぞ。

マニュアルがない問題をAIと1日で解決する方法

4. 社内システムやExcelの操作を動画にする

「あのボタンどこだっけ」「この表、どこに入力するんだっけ」。同じ質問が何度も来る操作は、1〜2分の動画にしておくと、リンクを送るだけで済みます。

当社がお客様に仕組みを納品するときも、操作の説明動画を一緒に作ることがあります。

5. 外国人スタッフ向けに、字幕を差し替える

台本から作る動画は、字幕を言語ごとに作り分けられます。同じ動画を、日本語の声のまま母国語の字幕で見てもらう形です。当社でも、外国語版はまだ試作の段階です。

外国語の声まで付けることもできますが、別の音声の道具を使うことになります。また、訳した文はその言葉を話す人に確かめてもらう必要があります。

気をつけたいこと

動画は便利ですが、何でも動画にすればいいわけではありません。

  • 動画を見せて終わり、では人は動けません。 見たあとに先輩と一緒にやる、やったあとに見返せる、の両方が要ります。動画はOJTの代わりではなく、OJTの台本です
  • 手順がまだ固まっていない仕事は、動画より先にやり方を決めるほうが先です。数週間で変わる手順を動画にすると、直す手間のほうが大きくなります
  • 測っていない効果は書きません。 「教育時間が半分に」のような数字は、導入前と後を同じ物差しで測ってから出すものです

どこから始めるか

いきなり全部を動画にする必要はありません。おすすめは、次の順番です。

1. 「○○さんに聞かないと分からない」仕事を、1つだけ選ぶ。 毎日か毎週あって、聞かれる回数が多いものが向いています
2. その人に15分だけ話してもらう。 手順と、迷う所と、やってはいけないことを聞きます
3. 3分の動画と、A4の確認表を1つずつ作る。 新人に見てもらい、分からなかった所を台本に戻して直します

1つできると、2つ目からは同じ型で速く作れます。

まとめ

  • 「あの人しか分からない仕事」は、休めば止まり、辞めれば消える
  • 技能継承がうまくいっている会社は2%。うまくいく理由の1位は計画的なOJT
  • AIを使うと、台本から動画・ナレーション・字幕まで作れて、直しは台本の1行で済む
  • 使い方は5つ。発注・受注の見える化、OJTの手順動画、写真と動画つきの手順書、操作動画、外国人スタッフ向けの字幕
  • 動画は教える代わりではなく、教えるための台本として使う

「うちのこの仕事でもできる?」というご相談をお待ちしています。手持ちの業務を1つ伺えば、どんな動画と手順書になるかを一緒に考えます。

出典(2026年11月2日時点)

  • 労働政策研究・研修機構「9割超のものづくり企業が技能継承を重視」(2026年5月27日)記者発表資料PDF

【群馬・北関東の中小企業・ひとり社長のAI導入をサポート】

UMEO CREATE(ウメオクリエイト)では、群馬県(高崎・前橋・太田・伊勢崎・吉岡町など)を中心に、中小企業や個人事業主・ひとり社長様向けの「AI導入・業務自動化・DX伴走コンサルティング」を行っています。

「自社の業務でもAIを使える?」「何から手をつければいいかわからない」「面倒な事務作業を自動化したい」といったご相談は、お気軽に公式LINEまたはWebサイトのお問い合わせフォームよりご連絡ください。

「うちの何にAIを使えるのか」から決めたい方へ

17問の選択式に答えるだけで、どの業務から手をつけるかがその場で分かる 「3分でわかる 業務のムダ診断」を無料で公開しています。連絡先の入力はありません。

3分の診断をやってみる(無料・連絡先なし) 紙のチェックリスト(PDF)がよい方はこちら

群馬県内でのAI導入・業務システム開発・AI研修のご相談を承っています。「何から始めればいいか分からない」段階からで構いません。下のフォームからお気軽にどうぞ。

← コラム一覧へ戻る

「AIで何ができるか分からない」
その段階のご相談こそ、歓迎です。

現状の業務の困りごとを伺うところから始めます。売り込みはしません。お気軽にどうぞ。

1営業日以内にご返信いたします。

フォームのほか、LINEでもご相談を承っています
LINEで相談する
友だち追加後、そのままトークでご質問いただけます

営業・ご提案のご連絡も、こちらのフォームからお願いいたします。
お電話での営業はお受けしておりません。