2026.10.30

GASの「Authorization is required」|パスワード変更で止まった物と直し方

GAS業務自動化自社の実践

GASの「Authorization is required」|パスワード変更で止まった物と直し方

Googleアカウントのパスワードを変えた翌朝、見慣れない通知メールが届きました。件名は「Summary of failures for Google Apps Script」、本文には 「Authorization is required to perform that action.」 とあります。日本語にすると「この操作を行うには承認が必要です」です。

当社(UMEO CREATE)は、群馬で代表ひとりでやっている会社です。従業員はいないかわりに、Google Apps Script(GAS。Googleのスプレッドシートやメールを自動で動かす仕組み)で作った小さな仕組みをいくつも動かしています。朝の予定を知らせる、メールを読んで要点を伝える、タスクを登録する、といった仕事です。

その一部が、パスワードを変えただけで止まりました。止まったのは「メールを読む」仕組みだけで、メールを送るだけのフォームや、時刻で動く給与計算の仕組みは1つも止まりませんでした。

この記事では、2026年10月24日に実際に起きたことを、止まった物と止まらなかった物の一覧、Googleが公式に書いている理由、そして安全に許可し直す手順の順に書きます。同じ通知が届いて「何も触っていないのに」と思っている方の、最初の切り分けに使ってください。

この記事の目次(10項目)

何が起きたか(2026年10月24日から25日)

時系列はこうです。

  • 10月24日 朝:安全のため、代表がGoogleアカウント(Gmail)のパスワードを変更
  • 同日 午前中:LINEで使っている秘書役のGASから、失敗通知メールが届く。本文は「Authorization is required to perform that action.」
  • 同日:デスクトップのAIキャラから裏側のGASを呼ぶと、エラー(403)が返るようになる。タスクの登録、朝と夜のまとめ、予定の通知が止まる
  • 同日 朝:AIが毎朝作っている商談準備のメモが、Gmailの下書きとして作れず、ファイルに保存される形で終わっていた
  • 10月25日:止まった物を1つずつ許可し直して、すべて復旧

コードは1行も変えていません。設定も触っていません。変えたのはパスワードだけです。

止まった物と、止まらなかった物

同じアカウントで動いている仕組みを、止まったかどうかで分けました。

仕組み何をしているか結果
LINEの秘書役(GAS)Gmailを読み、予定・タスクと合わせて答える止まった(承認が必要です)
デスクトップAIの裏側(GAS)上と同じ中身を、パソコンのキャラから呼ぶ止まった(呼ぶと403)
AIのメール連携商談準備のメモをGmailの下書きにする止まった(下書きが作れない)
ホームページの問い合わせフォーム(GAS)入力内容をメールで送る止まらない
ホームページのチャットボット(GAS)質問に答える止まらない
お客様サイトのフォーム受付(GAS)入力を受けてスプレッドシートへ止まらない
時刻で動くGAS(給与の集計・進捗の更新など)スプレッドシートを読み書き止まらない(失敗通知0件)
Driveの同期・GASの編集ツールファイルの同期・コードの反映止まらない
毎朝記事を書くAIの係記事を書いてホームページに載せる止まらない(この記事も書いています)

並べてみると、線がはっきり見えます。止まったのは「Gmailを読む」権限を持っている物だけです。メールを送るだけの問い合わせフォームは止まりませんでした。スプレッドシートしか触らない仕組みも、全部そのまま動いていました。

なぜメールを読む物だけ止まるのか(Google公式の説明)

これは当社の推測ではなく、Googleが開発者向けの文書にはっきり書いています。

GASのような仕組みは、本人のかわりにGoogleのサービスへ入るための「更新トークン」(長く使える合い鍵のようなもの)を持っています。Googleの「OAuth 2.0 を使用して Google API にアクセスする」という文書の「更新トークンの有効期限」の項に、この合い鍵が使えなくなる理由が列挙されていて、その中にこうあります。

ユーザーがパスワードを変更し、更新トークンに Gmail のスコープが含まれている。

スコープとは、その仕組みに「何をしてよいか」を区切った範囲のことです。つまり 「Gmailを扱う範囲の権限を持っている仕組みは、パスワードを変えると合い鍵が無効になる」 と決まっているのです。メールは特に守りが厳しい、ということです。

逆に言うと、スプレッドシートやカレンダーだけを扱う仕組みは、この条件に当たりません。だから当社の給与集計や進捗更新のGASは1つも止まりませんでした。

なお、送るだけの問い合わせフォームが止まらなかった理由までは、公式の一文だけでは断定できません。GASには「本人としてメールを送る」だけの狭い権限があり、受信箱を読む権限とは別物なので、おそらくそこの差だと見ていますが、ここは当社の見立てです。

安全に許可し直す手順

直し方そのものは単純です。GASのエディタで、その仕組みの関数を1つ実行して、出てくる許可の画面で「許可」を押す。 それだけで合い鍵が作り直されます。

ただ、当社は2つのGASを直すあいだに、気をつけるべき点を3つ見つけました。

1. どのGASが止まったかは、失敗通知メールから開く

GASは失敗すると、noreply-apps-scripts-notifications@google.com から通知メールを送ってきます。本文に、どのプロジェクトのどの関数が失敗したかと、エディタへのリンクが入っています。

これが大事なのは、GASはスプレッドシートに付属する形で作られていると、一覧に出てこないことがあるからです。当社のLINE秘書役もこの形で、ふだん使っているコードの管理ツールの一覧には出てきません。通知メールのリンクから「マイトリガー」を開き、そこからプロジェクト名をたどるのが、いちばん確実な入口でした。

2. 実行する関数は「読むだけ」の物を選ぶ

許可の画面を出すために実行する関数は、何でもよいわけではありません。

当社のGASには、設定を作り直す関数が入っています。合言葉(外から呼ぶときの鍵)を新しく作る物で、これを実行すると、その瞬間に古い合言葉が無効になり、LINE側もデスクトップ側も全部つながらなくなります。 パスワードを変えて止まった物を直そうとして、別の理由で全部止める、という事故になります。

そこで当社は、設定を読んで表示するだけの関数を実行して、許可の画面を出しました。読むだけの関数なら、何回実行しても何も壊れません。GASを作るときに、こういう「読むだけの入口」を1つ用意しておくと、こういう日に効きます。

3. 関数の一覧は、いま開いているファイルの分しか出ない

GASのエディタで実行する関数を選ぶとき、一覧に出るのはいま画面に開いているファイルに書かれた関数だけです。別のファイルにある関数を実行したいときは、まずそのファイルを左の一覧で開いてから、関数を選び直します。

当社のデスクトップ用GASは、読むだけの関数を別ファイルに置いていたので、最初は一覧に出てきませんでした。「関数が無い」と慌てる前に、ファイルを開き直してください。

止まったかどうかを確かめる道具

パスワードを変えた日は、「止まっていないか」を自分から見に行く必要があります。止まり方が静かで、人が来るまで誰も気づかないからです(これは以前の記事「AIの定期仕事が朝に止まる原因」で書いた、確認待ちで止まる話と同じ性質です)。

当社が使った確かめ方は4つです。

1. GASの失敗通知メールを検索する(送信元 noreply-apps-scripts-notifications@google.com)。10月24日は、止まったGASからだけ届いていました
2. 外から呼べる「読むだけの入口」を叩く。当社のGASには、状態を返すだけの問い合わせ口があるので、そこへ1回アクセスして200が返るかを見ます
3. デスクトップのAIにタスクの一覧を聞く。裏側が止まっていれば、ここで止まります
4. 時刻で動くGASは、通知が0件であることを確かめる。何も届かないのが正常の証拠です

ついでに、ブラウザで使うGoogleのサービス(動画や画像を作るもの)も、ログインし直しが要ることがあります。こちらはエラーではなく、ログイン画面が出るだけなので分かりやすいです。

同じ日に重なった、別の原因

1つ、切り分けで迷った物があります。YouTubeの動画をまとめる道具が、同じ10月24日に止まりました。最初は「これもパスワードのせいだろう」と思いました。

ところが、ログインし直しても直りません。調べると、その道具が使っていたGoogle側のサービスのアドレスが、ちょうど同じ時期に新しいアドレスへ移っていたことが原因でした。相手側の変更と、こちらのパスワード変更がたまたま同じ日に重なっただけです。道具を新しい版に更新してログインし直すと動きました。

ここで言いたいのは1つです。「今日はパスワードを変えた」という分かりやすい理由があると、何でもそのせいにしたくなる。 止まった物ごとに、通知の文面を1つずつ読むほうが早いです。このアドレス移転の話は、別の記事で改めて書きます。

パスワードを変える前に、やっておくこと

当社の反省も含めて、次にパスワードを変えるときの手順をまとめました。

  • Gmailを読む権限を持つ仕組みを、先に書き出しておく。 当社では3つでした。パスワードを変えた直後に、この3つだけ見に行けばよい
  • 「読むだけの関数」が、どのファイルにあるかを控えておく。 慌てている時に探さない
  • 設定を作り直す関数には、名前の頭に印を付けるか、コメントで「実行しない」と書いておく。 一覧で並んだときに間違えない
  • AIに任せている定期の仕事は、翌朝の成果物を人が1回見る。 下書きが作れずファイルに逃げていた商談準備メモは、翌朝に見て初めて分かりました
  • お客様に納めたGASがGmailを読んでいるなら、お客様のパスワード変更でも同じことが起きると、引き渡しのときに伝えておく。「パスワードを変えたら、この関数を1回実行してください」の1行を手順書に入れておけば済みます

この話が当てはまらない場合

次のような場合は、今回の話は関係ありません。

  • スプレッドシートやカレンダーだけを扱うGASしか使っていない場合。 公式の条件は「Gmailのスコープが含まれている」ときです。当社の給与や進捗のGASは止まりませんでした
  • 「Authorization is required」が、初めて実行したときや、コードに新しい機能を足した直後に出た場合。 それはパスワードとは別の、ふつうの初回承認です。同じ画面で許可を押せば済みます
  • 会社でGoogle Workspaceを使っていて、管理者が権限を制限している場合。 同じ文書に、管理者の設定で止まる別の理由(admin_policy_enforced)が書かれています。管理者に確認してください

まとめ

  • Googleのパスワードを変えると、Gmailを扱う権限を持つ仕組みの合い鍵(更新トークン)が無効になる。 これはGoogleの公式文書に明記されている
  • 当社では、メールを読む3つの仕組みが止まり、メールを送るだけのフォーム・スプレッドシートだけを扱うGAS・Drive同期などは1つも止まらなかった
  • 直し方は、GASのエディタで読むだけの関数を1回実行して許可を押すだけ。設定を作り直す関数は実行しない
  • GASの関数一覧は、開いているファイルの分しか出ない。「関数が無い」と思ったらファイルを開き直す
  • 止まったGASは、失敗通知メール(noreply-apps-scripts-notifications@google.com)のリンクからたどるのが確実
  • 同じ日に止まった物を全部パスワードのせいにしない。通知の文面を1つずつ読む

出典(2026年10月30日時点)

  • Google for Developers「OAuth 2.0 を使用して Google API にアクセスする」の「更新トークンの有効期限」

https://developers.google.com/identity/protocols/oauth2?hl=ja
※「ユーザーがパスワードを変更し、更新トークンに
Gmail のスコープが含まれている」は、この項に列挙されている理由の1つです。文書は更新されることがあるため、ご確認の際は最新版をご覧ください

業務システムを作るとき、当社は「止まったらどう気づくか」「誰がどう直すか」を先に決めておくことを、作る中身と同じくらい大事にしています。業務システム開発についての考え方は、次のページにまとめています。

▼ 業務システム開発について
https://www.umeocreate.com/system.html


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