AIに仕事を任せはじめると、次に困るのは「ちゃんと動いているのか」が分からないことです。
当社(UMEO CREATE)は、群馬で代表ひとりでやっている会社です。従業員はいません。そのかわり、決まった時刻に動くAIの仕事を10個持っています。朝5時に商談の準備メモを作る、朝6時に記事を書く、夕方にその日のやり取りを書き出す、といった仕事です。
ただ、「今朝の記事はもう出たか」「週1回の調べものは先週ちゃんと動いたか」を確かめるには、仕事ごとに別々の記録を開く必要があります。1か所で見られる場所はありませんでした。
そこで、AIの仕事ぶりを1枚で見る画面を作りました。社内では「AI社員ボード」と呼んでいます。この記事では、画面に何を出しているか、作ってみて分かったこと、そしてこの画面では分からないことを、2026年10月17日夜の時点の記録と一緒にそのまま書きます。
AI社員ボードの画面。上に4つの数字、下に係ごとのカードが並ぶ(2026年10月17日21時40分時点。作業名は伏せています)
この記事の目次(7項目)
AIに任せた仕事を見える化しようと思った理由
きっかけは、「AI社員を可視化した」という投稿を見たことです。うちでも同じものが出せるのか、試してみることにしました。作ったのは2026年10月12日で、そのときの係は9つ、実行は合わせて294回でした。その後1つ増えて、いまは10係です。
ただ、作る前から1つ決めていたことがあります。「24時間働くAI社員が◯人」のような見せ方はしない、ということです。
AIに任せた仕事は、止まることがあります。遅れることもあります。動いたとしても、作った物が正しいとは限りません。見栄えのよい数字だけを並べると、そこが隠れます。隠してしまえば、ただ驚かせるための画面と変わりません。
なので、この画面の目的は「どれだけ働いたか」を誇ることではなく、動いたか・遅れたか・止まっているかを、毎朝1回で確かめることにしました。
画面に出しているもの
画面は大きく3つに分かれています。
1. 上の4つの数字
10月17日21時40分時点の記録では、こうなっていました。
| 数字 | 意味 |
|---|
| 10 | 決まった時刻に動く係の数 |
| 5 / 5 | 今日が出番の5係のうち、もう動いた数 |
| 323 | これまでの実行回数(10係の合計) |
| 0 | いま人と一緒に作業中の会話の数 |
2つ目の数字は、必ず分母をつけて出すようにしています。「10係のうち5つ動いた」とだけ出すと、残りの5つが失敗したように見えるからです。実際には、週1回や月1回の係は、その日が出番ではないだけです。
2. 係ごとのカード
1つの仕事につき、カードを1枚出しています。カードに書いているのは次の6つです。
- 最後に動いた時刻と、本来の出番の時刻
- 次の出番
- これまでの回数
- どこまで自分でやるか(「世に出る」「下書きまで」「社内で完結」の3段階)
- 人が確認する所
- 直近7回の結果を点で(緑=予定どおり、茶=90分以上遅れて開始、赤=失敗)
10係の内訳は、「世に出る」が1つ、「下書きまで」が2つ、「社内で完結」が7つです。
「世に出る」の赤い札がついているのは、記事を書く係だけです。自社のホームページへの掲載まで自動で進むので、人が読む前に記事が世に出ます。この記事も、その係が書いたものです。ここは毎朝いちばん目に入る場所に置き、カードにも「HPの記事は人が読む前に世に出る」とはっきり書いています。
反対に、メールの下書きを作る係は「下書きまで」です。送信ボタンは押しません。送るかどうかは、必ず人が決めます。
3. 上に出る赤い警告
何かおかしいときだけ、画面のいちばん上に赤い帯が出ます。出すのは3種類です。
- 出番を過ぎても動いていない係がある
- 失敗した回がある
- 記録そのものが26時間以上古い(=この画面を更新する係が止まっている)
3つ目は、画面そのものが止まったときのための警告です。見張り役が止まると、すべてが「異常なし」に見えてしまうからです。
作ってみて分かったこと
遅れは思っていたより多かった
画面の下には「遅れて始まった回」の一覧を出しています。各係の直近の記録(多くは7回分)のうち、予定より90分以上遅れて始まった回は13回ありました。
「遅れて始まった回」の一覧と「この画面で分からないこと」(2026年10月17日時点)
いちばん大きかったのは、知識の点検をする週1回の係で、予定の日曜7時51分に対し、実際に始まったのは翌日の0時27分でした。約16時間半の遅れです。10月17日にも、この画面を更新する係が予定の8時32分から約13時間遅れて、21時40分に始まっています。
原因はまだ全部は分かっていません。パソコンが眠っていて、起きたあとに追いついて動いたように見える回があります。
作る前は「毎日決まった時刻に動いている」と思っていました。 記録を並べてみて、そうではないと分かりました。これが、この画面を作っていちばんよかった点です。
「次の出番」で止まりを判定すると見逃す
技術的な話を1つだけ書きます。
止まっている係は、「次の出番」の時刻が過ぎているかどうかで見つけられそうに思えます。ところが、予定が飛ばされると「次の出番」も先へ進みます。止まっていても、見た目は正常のままになります。
そこで、直前の出番を自分で計算し、それが最後に動いた時刻より新しければ「来ていない」と判定しています。わざと古い日付の記録を入れて、警告が赤く出ることを確かめています。
時刻の直し忘れで「昨日」に見える
記録の時刻は世界標準時で残っています。日本時間に直し忘れると、朝5時に動いた係が「前日の20時台」に動いたように見えます。時刻は記録のまま持ち、直すのは画面の側だけにしました。集める側に計算をさせないほうが、間違いが減ります。
係に名前やキャラクターを付けなかった
「朝の商談準備係」「記事係」のように、役割の名前で並べています。かわいい名前やキャラクターを付けると、「なんでもやってくれる人」に見えてしまうからです。見せたいのは働きぶりではなく、どこまでやらせて、どこを人が見るかの線引きです。
この記事を書くために開いたら、真っ白だった
正直に書いておきます。10月18日の朝、この記事のために画面を開いたところ、何も表示されませんでした。
原因は、試験のために1回だけ動かした係でした。この係には「毎日何時」という出番の設定がありません。画面は全部の係について直前の出番を計算するので、そこで止まっていました。
記事に載せている画面は、その試験用の係を除いて表示したものです。画面のほうは、出番の設定がない係を計算から外し、「決まった出番なし」と出すように直しました。作った本人でも、自分の見張り役が止まっていることに気づけていなかった、という一例です。
この画面で分からないこと
画面の中にも、分からないことをそのまま書いています。
- 各係が、その回に何を作ったかの中身(実行の記録に要約が残らない)
- 作った物が正しいかどうか
- 走り始めたあと、途中で承認待ちになって止まっていた時間
- 記録は1日1回の更新なので、次の更新までの出来事は載らない
特に大事なのは2つ目です。点が緑でも、それは「最後まで走った」という意味でしかありません。中身が正しいかどうかは、人が読まないと分かりません。
3つ目も実際に起きています。朝の仕事が、途中で「この操作をしてよいか」の確認待ちになり、本人が来るまで止まっていたことが、10月8日から12日に5回ありました。止まっていた時間は95分から192分です。この画面は「始まった時刻」しか見ていないので、この止まり方は映りません。これについては、別の記事で詳しく書く予定です。
あわせて、画面には「AIに任せていないこと」も書いています。
- メールやLINEの送信、SNSの投稿ボタン、支払いや発注の確定
- 見積の金額、契約の判断、お客様に出す文章の事実と数字の最終確認
- お客様のところでの聞き取りと、その場で何を作るかの判断
料金と、ご相談いただける形
このボードは、当社が自分のために作った画面です。商品として販売はしておらず、料金表にも載っていません。
AIに決まった仕事を任せる仕組みそのものは、「AIエージェント導入支援」としてお手伝いしています。御社のパソコンにAIが働く環境をつくり、実際の業務を1つ、その場で動くようにして持ち帰っていただく半日のハンズオンで、10万円(税別)です。料金は全て一例で、ご予算に合わせたプランのご提案も可能です。
▼ AIエージェント導入支援の詳しい内容
https://www.umeocreate.com/agent.html
任せる仕事が増えてきたら、同じ考え方で「その会社のAIに任せた仕事の一覧」を作ることはできます。中身は、この記事に書いた「係/どこまでやるか/人が確認する所/最後に動いた時刻/遅れと失敗」です。
この画面が向かない場合
次に当てはまる場合は、こうした画面はまだ要らないと思います。
- AIに任せている仕事が2つか3つまでの場合。 そのくらいなら、1つずつ記録を開いて確かめても、手間はあまりかかりません
- 「AIで何時間減ったか」を知りたい場合。 この画面に出せるのは回数と時刻までです。当社は削減した時間を測っていないので、画面にも出していません
- 作った物の中身まで自動で確かめたい場合。 上に書いたとおり、緑の点は「走り切った」という意味だけです。中身の確認は、人がする前提です
まとめ
- AIに任せた決まった時刻の仕事について、動いたか・遅れたか・止まっているかを1枚で見る画面を作りました
- 10月17日夜の時点で、10係・これまで323回。直近の記録のうち、90分以上遅れて始まった回が13回ありました
- 止まりの判定に「次の出番」を使うと見逃します。直前の出番を自分で計算して比べています
- 緑の点は「最後まで走った」という意味だけで、中身が正しいかは別です。分からないことは画面の中に書いています
- このボードは自社用で、販売はしていません
当社がAIに渡している仕事の一覧は、次のページにまとめています。
▼ 当社が使っているものの一覧
まず自分たちで使っています(自社の実践)
▼ 渡している仕事と、渡していない仕事の線引き
社内AI活用の実例|AIに渡した12の仕事と渡さない5つ
【群馬・北関東の中小企業・ひとり社長のAI導入をサポート】
UMEO CREATE(ウメオクリエイト)では、群馬県(高崎・前橋・太田・伊勢崎・吉岡町など)を中心に、中小企業や個人事業主・ひとり社長様向けの「AI導入・業務自動化・DX伴走コンサルティング」を行っています。
「自社の業務でもAIを使える?」「何から手をつければいいかわからない」「面倒な事務作業を自動化したい」といったご相談は、お気軽に公式LINEまたはWebサイトのお問い合わせフォームよりご連絡ください。