2026.11.01

AIでサウンドノベルは作れる?|9人のアイドルが出る推理ホラーを2日で作った

AI活用クリエイティブ自社の実践

AIでサウンドノベルは作れる?|9人のアイドルが出る推理ホラーを2日で作った

「AIで、ゲームみたいなものまで作れるんですか?」

AIの導入のご相談でお客様の会社にうかがうと、本題のあとにこんな質問をいただくことがあります。文章や画像が作れるのは分かった。では、人が選んだ道で話が変わっていく「読み物のゲーム」のようなものは、どこまでAIで作れるのか。

当社UMEO CREATEでは、お客様の仕事とは別に、自社の取り組みとしてAIで生まれた9人のアイドル(AIドル)のYouTubeチャンネル「AIドル未来会議」を続けています。この9人を主役にしたサウンドノベル『雪見館の九人』(仮題)を、2026年10月に作りました。いまは体験版を公開しています。

この記事では、その体験版を実際に遊んでいただける形でお見せしながら、次の3つをお伝えします。

  • AIで出来たこと(何がどこまで出来上がったか)
  • AIだけでは出来なかったこと、人が見て直したこと
  • かかった日数と、かかったお金

先に結論を書きます。体験版は1日、本編は翌日。合わせて2日で、選んだ道で結末が変わる推理ホラーが形になりました。 一方で、AIが作ったものをそのまま出せたわけではなく、人が見て直した所が約200か所あります。その中身も、そのまま書きます。

この記事の目次(7項目)

作ったもの:『雪見館の九人』体験版

体験版のタイトル画面。吹雪の夜の洋館(背景の絵はAIで生成)
体験版のタイトル画面。吹雪の夜の洋館(背景の絵はAIで生成)

サウンドノベルは、画面いっぱいに文章が流れ、ところどころで選択肢を選ぶと物語の行き先が変わる、文字が主役のゲームです。代表が昔遊んだ『かまいたちの夜』を突然思い出し、「ちょっと作ってみるか」と始めたのがきっかけでした。だいぶオマージュしています。

舞台は、吹雪で閉ざされた雪の洋館。そこにAIドル未来会議の9人が泊まることになって、という推理ホラーです。止まった時計、数の合わない鐘の音、増えていく足跡。選んだ道によって、物語の行き先が変わります。

体験版は、次の形で公開しています。

  • 登録なしで、ブラウザですぐ遊べます(スマホでもパソコンでも)
  • 最初に「ちびキャラ版」と「アニメ版」の2つの絵柄から選べます
  • 1周は25分ほど(2026年10月27日に代表がiPhoneで実測)
  • 音ありがおすすめです

▼ 体験版はこちら
https://yukimi.umeo-create.workers.dev/

最初に「ちびキャラ版」と「アニメ版」のどちらかを選ぶ画面
最初に「ちびキャラ版」と「アニメ版」のどちらかを選ぶ画面

お話の中身は、ここには書きません。ネタバレになるからです。遊んでいただいたときの驚きを、記事で減らしたくありません。

AIで出来たこと

この体験版で、AIが作ったものを並べます。

  • 物語の文章。 序章から終章までの筋、9人それぞれのセリフ、選択肢で枝分かれする展開。本編全体では場面の数が700を超えます
  • 絵。 雪の洋館の外観、広間、廊下、時計、台所など、背景だけで80枚を超えます。9人の立ち絵は、ふだんのアイドル衣装とは別に、物語の中の役にあわせた衣装で作りました。「ちびキャラ版」と「アニメ版」の2つの絵柄も、それぞれAIで作っています
  • 声。 9人の声は、すべてAIの音声合成で作りました。叫ぶ、ささやく、息をのむ、といった演技の違いまで指定して、要所のセリフに声を入れています
  • 音。 効果音と音楽も用意しました
  • ゲームの仕組みそのもの。 文章を流す、選択肢を出す、途中で保存する、しおりを挟む、といった動く部分も、AIと一緒に作っています
体験版の冒頭。画面いっぱいに文章が流れる、文字が主役のゲームです(背景の絵はAIで生成)
体験版の冒頭。画面いっぱいに文章が流れる、文字が主役のゲームです(背景の絵はAIで生成)

正直に言うと、作る前は「文章だけならともかく、選択肢で枝分かれする話を破綻なく書けるだろうか」と心配していました。ところが、先に物語の設計図(誰が、どこで、何を隠しているか)を人が決めておけば、枝分かれする文章そのものはAIが書けました。これは、やってみて意外だった点です。

AIだけでは出来なかったこと、人が直したこと

一方で、AIが作ったものをそのまま出せたわけではありません。

数を守れない

いちばん困ったのは、絵の中の「数」です。推理ものなので、「皿が9枚ある」「足跡が2つしかない」といった数が手がかりになります。ところが画像生成AIは、「皿を9枚」と頼んでも、枚数のあう絵をなかなか出してくれません。手がかりになる数は、出てきた絵を人があとから加工してそろえました。

文章だけで頼むと別人になる

一枚絵にキャラクターを描かせたとき、文章だけで「あおいを描いて」と頼むと、別人が出てきました。片耳の上に付けた小さな蝶結びのリボンが、頭の上の大きな赤いリボンになり、髪の色まで変わって黒髪の別人になったこともあります。立ち絵を見本として一緒に渡すようにしてから、同じ人物として描けるようになりました。

点検で直す所が約200か所出た

本編の文章が一通りそろったあと、2026年10月25日に全場面を点検しました。出てきた直し所は、重いもの13件、中くらいのもの68件、軽いもの116件。合わせて197か所です。

重いもの13件は、代表が「そのままでよい」と決めた1件を除いて、すべて直しました。たとえば、文章では「時計の中は空っぽ」と書いているのに、背景の絵には歯車と重りがぎっしり描かれている。文章では「火はつかない」と言っているストーブが、絵では赤々と燃えている。床に落としたはずの手帳を、そのあとの場面で持って書いている。どれも、文と絵、前の場面と後の場面のつじつまに関わるものです。中くらい・軽いものは、文や条件を1行か2行直せば済むものから順に直し、新しい絵や声が要るものは後回しにしています。

AIは「それらしい文章」を書くのは得意ですが、何百もの場面のあいだで、つじつまを全部守るのはまだ苦手です。 ここは人が読んで見つける仕事として残りました。

音は、耳で確かめるまで分からなかった

音が鳴るかどうか、鳴ったとしてそれが気持ち悪くないかは、画面を見ているだけでは分かりません。スマホで実際に遊んで音が鳴ることは、10月27日に代表のiPhoneで確かめました。1周25分という時間も、このとき測ったものです。

かかった日数と、かかったお金

日数は、冒頭に書いたとおりです。

  • 2026年10月21日:体験版(序章と第1章)が完成
  • 10月22日:本編(第2章から終章まで)が完成
  • 10月23日から24日:本編に、分かれ道の先の別の編を足した
  • 10月25日から26日:全場面の点検と直し

お金については、ふだん仕事で使っているAIのサービスの範囲内で、ほぼ作れました。追加で払ったのは、9人の声を作った分だけです。声は使った分だけ払う仕組みのサービスで作っています。外部に何かを頼んだことはありません。

曲については、「Sunoなどの音楽生成AIで作れます」とだけお伝えしておきます。

「ひとりでも、ここまで作れる」の実感

体験版が出来た10月21日に、代表が最初に言ったのは「これめっちゃいいよ」でした。

少し前なら、サウンドノベルを1本作るには、文章を書く人、絵を描く人、声を入れる人、仕組みを作る人がそろって、ようやく形になる仕事でした。それが、道具がそろっている今は、ひとりの会社が本業の合間に、2日で体験版まで届きます。

ただし、ここまで書いたとおり、「道具がそろえば、何でも勝手に出来る」わけではありません。 皿の枚数は合わず、リボンは別物になり、つじつまの合わない場面が約200か所出てきます。それを見つけて直すのは人の仕事で、そこには時間もかかります。

それでも、「全部を人が手でやる」のと、「AIが作ったものを人が見て直す」のとでは、かかる手間がまったく違います。この差を、アイドルのMVに続いて、今回はサウンドノベルで確かめました(MVの話はこちら → AIでアイドルのMVはどこまで作れるか)。

会社の仕事にどうつながるのか

「ゲームの話は分かったけれど、うちの会社には関係ないのでは」と思われたかもしれません。

ただ、今回いちばん効いたのは「先に設計図を人が決め、文章はAIに書かせ、つじつまは人が点検する」という順番でした。これは、お客様の会社で当社がふだんやっている仕事と同じ形です。

  • 社内マニュアルの下書きをAIに作らせ、現場の人が手順のつじつまを確かめる
  • お客様向けの案内文の案をAIに出させ、人が事実と数字を確かめる
  • 「この場合はこう、その場合はこう」と枝分かれする対応手順を、AIと一緒に書き出す

道具を選び、任せる範囲を決め、人が見る場所を決める。サウンドノベルで分かったことは、そのまま会社の仕事にも当てはまります。

当社が自社の業務でAIをどう使っているかは、「[UMEO CREATEの実践](/our-practice.html)」のページにまとめています。9人のアイドルが出る解説番組は、YouTubeの「AIドル未来会議」(https://www.youtube.com/@idol_future_meet )でご覧いただけます。

まとめ

  • AIで、選んだ道で結末が変わるサウンドノベルは作れる。文章・絵・声・仕組みまで、2日で体験版と本編が形になった
  • 一方で、絵の中の数を守れない、文章だけで頼むと別人になる、場面のあいだでつじつまが合わない、といったことは起きる。点検で直す所が197か所出て、重い13件はすべて人が直した
  • お金は、ふだん使っているAIのサービスの範囲内でほぼ収まった。追加は声の分だけ
  • 体験版は登録なしで、1周25分ほど。2つの絵柄から選べる

AIで「どこまで出来るか」は、実際に作ってみるといちばんよく分かります。体験版を遊んでみて、感想をいただけたら、とてもうれしいです。X(@umeo0221)か、Threads(@djumeo)までどうぞ。

※本文中の画面と絵は、当社がAIで生成したものです。


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