「AIで動画って、実際どこまで作れるんですか?」
AIの導入のご相談でお客様の会社にうかがうと、本題の業務の話が一段落したあとに、こんな質問をいただくことがあります。SNSで流れてくるAI動画を見て、「うちの会社の紹介動画や商品のPRにも使えるのでは」と気になっている方が多いようです。
当社UMEO CREATEでは、お客様の仕事とは別に、自社の取り組みとして「AIドル未来会議」というYouTubeチャンネルを運営しています。登場するのは、AIで生まれた9人のアイドル(AIドル)です。そして、この9人が歌って踊るミュージックビデオ(MV)も、絵・動き・曲のすべてをAIで作っています。
この記事では、その中から2本のMVを実際にお見せしながら、次の3つをお伝えします。
- AIでMVはどこまで作れたのか(出来たこと)
- AIだけでは出来なかったこと、人が見て直したこと
- 道具がある状態と無い状態で、何が違うのか
先に結論を書いておきます。道具がそろっている今は、夜に「朝までに作っておいて」と頼んでおけば、朝には形になったものが出来上がっています。 一方で、同じことを道具なしでやろうとすると、正直かなり厳しいと感じています。その差がどこから来るのかも、あわせてお話しします。
この記事の目次(6項目)
最初のMV:ちびキャラが歌う54秒(2026年9月29日)
まずは、いちばん最初に作ったMVです。
最初のMV(2026年9月29日・54秒)。キャラの絵・動き・曲はAIで生成
このころの9人は、頭が大きく体が小さい、いわゆる「ちびキャラ」のデザインでした。もともとはYouTubeの解説番組に出てもらうために作ったキャラクターで、立ち絵(正面を向いて立っている絵)が中心です。
その立ち絵に曲をつけ、メンバーが1人ずつ名乗っていくMVにしました。
このMVで出来たこと
- 9人それぞれの顔・髪の色・身長の差が、最後まで崩れずに保たれた
- 止まった絵の一部を、手を振る・ジャンプするといった「動く絵」にできた
- 歌入りの曲を、AIで用意できた
正直に言うと、作る前は「キャラの顔が途中で別人になるのでは」と心配していました。ところが、ちびキャラのように特徴がはっきりした絵だと、動かしても顔や身長差はほとんど崩れませんでした。これは、やってみて意外だった点です。
このMVで出来なかったこと
一方で、AIが勝手にやってしまったこともありました。
- 元の絵に無い羽飾りが生えた。 メンバーの1人(るな)を動かしたところ、元の絵には無い白い羽飾りが、途中のコマに出てきました
- 細かい特徴が途中で消えた。 別のメンバー(しの)を動かしたところ、元の絵にあった細かい特徴が、動いている途中でふっと消えました
- 9人の集合絵が安定しない。 9人全員が並ぶ絵を作ろうとすると、同じ人が2人いる、1人足りない、といった絵がたくさん出てきました
AIは「それらしいもの」を作るのは得意ですが、「決めた通りの人数・決めた通りの持ち物」を守るのは苦手です。ここは人が1枚ずつ見て、使える絵を選び、使えない場面は差し替えました。
いまのMV:等身のアイドルが歌う「九人の歌」(2026年10月12日)
続いて、いまの版です。
いまのMV「九人の歌」(2026年10月12日・2分4秒)。絵・動き・曲はAIで生成
最初の版との違いは、見ていただくと一目で分かると思います。
デザインを「等身」に切り替えた
2026年10月4日に、キャラクターのデザインを、ちびキャラから「等身」(実際の人に近い頭と体のバランス)に切り替えることにしました。目指したのは、テレビアニメのオープニングのように、カットが細かく切り替わり、映像の中で物語が進んでいくMVです。
等身にすると、表情や仕草で伝えられることが一気に増えます。そのぶん、AIにとっても難しくなります。顔の細かい違い、衣装の飾り、髪の結び目の左右など、守らなければいけない約束ごとが増えるからです。
このMVには、9人がアイドルグループとして集まるまでのお話(結成ストーリー)の一場面も入っています。お話の中身は、ぜひ映像のほうでご覧ください。
このMVで出来たこと
- 等身の9人が、それぞれ別の表情・仕草で歌う場面を作れた
- 舞台の幕が開く、衣装が変わる、といった「見せ場」をMVの中に入れられた
- 2分を超える1曲を、最初から最後までAIで作った絵と動きでつなげられた
- カメラが寄ったり引いたりする、アニメらしい動きを入れられた
最初のMVから2週間ほどで、ここまで変わりました。作っている本人としても、「AIでここまで出来るのか」と驚いた部分です。
このMVで出来なかったこと・人が直したこと
等身になって、AIの苦手な部分もはっきり見えてきました。
- 楽屋の場面で、メンバーの1人が別人の顔になっていた
- 髪のリボンが、決めたのと反対側に付いてしまう
- 9人の手振りがバラバラで、まとまりがない。 1人ずつ見ると自然なのに、並べるとそろっていない
- 動きが歌より速く見えた。 映像の速さを少し上げたら、「歌より動きが速い」と感じる仕上がりになり、元の速さに戻しました
- 後ろ姿が多すぎた。 9人の後ろ姿が続くと、誰が誰だか分からなくなります
どれも、AIが作ったものを人が見て「ここはおかしい」と気づき、直したり作り直したりした所です。特に「手振りがそろっていない」「ここは全員で歌い出したほうがいい」といった、見せ方の良し悪しは、AIに任せきりにはできませんでした。
曲もAIで作れる時代
曲については、「Sunoなどの音楽生成AIで作れます」とだけお伝えしておきます。歌詞の入った曲も、いまは音楽生成AIで作れる時代です。
2本のMVの絵と動きも、ふだん使っているAIのサービスの範囲の中で作りました。追加でお金を払って外部に何かを頼んだ、ということはありません。
道具がそろうと「朝までに作っておいて」で出来る理由
冒頭で、「道具がそろっている今は、夜に頼んでおけば朝には出来上がっている」と書きました。これは誇張ではなく、作っている本人の実感です。
MVを1本作るには、大きく分けて次のような作業があります。
- 場面ごとの絵を用意する
- 絵を動かす
- 曲を用意する
- 曲に合わせて、絵と動きをつないで1本の映像にする
道具がそろっていると、この「絵・動き・曲・つなぎ」の多くを、AIに任せられます。人がやるのは、「こういうMVにしたい」と伝えることと、出来上がったものを見て「ここは違う」と直しを入れることです。
逆に、道具が無い状態で同じことをやろうとすると、絵を描く、1コマずつ動かす、曲を作る、映像をつなぐ、のすべてを人が手でやることになります。絵の上手な人、アニメーションが作れる人、作曲できる人、映像編集ができる人がそろって、ようやく形になる仕事です。小さな会社が自社の取り組みとしてやるには、正直かなり厳しいと思います。
ここで大事なのは、「道具がそろえば、何でも勝手に出来る」わけではないということです。上に書いたとおり、羽飾りが生えたり、リボンの側が逆になったり、手振りがそろわなかったりと、AIは今もたくさん間違えます。それを見つけて直すのは人の仕事で、そこには時間もかかります。
それでも、「全部を人が手でやる」のと、「AIが作ったものを人が見て直す」のとでは、かかる手間がまったく違います。この差が、道具がある状態と無い状態の差だと感じています。
会社の仕事にどうつながるのか
「アイドルのMVの話は分かったけど、うちの会社には関係ないのでは」と思われた方もいるかもしれません。
ただ、ここでお話しした「AIが作ったものを人が見て直す」という形は、MVに限りません。当社がふだんお客様の会社で行っている業務の効率化も、根っこは同じです。
- 書類の下書きをAIに作らせ、人が確認して仕上げる
- 集計や転記をAIに任せ、人は数字の確認と判断に時間を使う
- 夜のあいだに作業を進めておいてもらい、朝に結果を見る
道具を選び、任せる範囲を決め、人が見る場所を決める。MVづくりで分かったことは、そのまま会社の仕事にも当てはまります。
当社が自社の業務でAIをどう使っているかは、「[UMEO CREATEの実践](/our-practice.html)」のページにもまとめています。AIドルたちの解説番組は、YouTubeの「AIドル未来会議」(https://www.youtube.com/@idol_future_meet )でご覧いただけます。
まとめ
- AIで、アイドルのMVは「絵・動き・曲」まで作れる。ちびキャラの54秒から、等身の2分4秒まで来た
- 一方で、羽飾りが生える、人数がそろわない、リボンの側が逆になる、手振りがそろわない、といった間違いはまだ多い。見つけて直すのは人の仕事
- 曲はSunoなどの音楽生成AIで作れる。絵と動きも、ふだん使っているAIのサービスの範囲で作れた
- 道具がそろっていれば「朝までに作っておいて」で形になる。道具が無いと、全部を人が手でやることになり、かなり厳しい
AIで「どこまで出来るか」は、実際に作ってみるといちばんよく分かります。これからも、AIドルたちの取り組みを通して、出来たことと出来なかったことを正直にお伝えしていきます。
【群馬・北関東の中小企業・ひとり社長のAI導入をサポート】
UMEO CREATE(ウメオクリエイト)では、群馬県(高崎・前橋・太田・伊勢崎・吉岡町など)を中心に、中小企業や個人事業主・ひとり社長様向けの「AI導入・業務自動化・DX伴走コンサルティング」を行っています。
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