AIで解説動画が作れる、という話をよく見かけるようになりました。では、ひとりの会社が本業の合間に続けられるものなのか。当社(UMEO CREATE)は、まず自分たちでやってみることにしました。お客様に勧めるものは先に自社の仕事で動かす、というのが当社の順番だからです。
2026年9月、YouTubeに「AIドル未来会議」というチャンネルを立ち上げました。AIのキャラクター2人が、AI導入や業務改善の話を掛け合いで進める解説動画です。動画づくりは、当社ではまだテストの段階です。 料金表にも載せていません。
この記事では、AI解説動画の作り方を、台本から書き出しまでの4つの工程に分けてご紹介します。あわせて、3本を公開した時点の再生数と、作る途中で実際につまずいた場所を、数字と一緒にそのまま書きます。
YouTubeチャンネル「AIドル未来会議」で公開した第1話から第3話のサムネイル(イラストはAIで生成したものです)
この記事の目次(8項目)
AI解説動画の作り方を、自社のYouTubeで試した理由
当社のWebサイトには、この記事を出す前の時点でコラムが74本あります。どれも文章です。
文章は、検索で探している方には届きます。一方で、読む時間が取れない方や、「AIの話は字を見ただけで疲れる」という方には届きにくい形でもあります。同じ中身を、動画という別の形でも出せるのか。出せるとして、ひとりの会社が本業の合間に続けられる手間で済むのか。これを確かめるのが今回のテストです。
もう1つ理由があります。当社の「自社の実践」のページには、AIに渡している仕事の1つとして「動画とSNS」を載せています。載せている以上、どこまでできて、どこで人の手が要るのかを、自分の言葉で説明できる必要があります。
チャンネルはこちらです。
▼ AIドル未来会議(YouTube)
https://www.youtube.com/@idol_future_meet
公開した3本と、10月12日時点の再生数
まず、結果から正直に書きます。
| 話 | 題名 | 公開日 | 長さ | 再生数 |
|---|
| 第1話 | 人手不足でも回る会社は何を変えた | 9月28日 | 8分47秒 | 48回 |
| 第2話 | 導入したのに誰も使わなくなるAI | 10月4日 | 7分18秒 | 13回 |
| 第3話 | その差、どこから?AI導入の見積もり なぜ桁が違う? | 10月7日 | 7分14秒 | 2回 |
再生数は、2026年10月12日の朝にYouTubeの公開ページで確認した数字です。3本を合わせて63回です。
第1話から第3話の再生数の棒グラフ。第1話48回、第2話13回、第3話2回(2026年10月12日朝時点)
多くはありません。この3本は、公開しただけで、告知も何もしていませんでした。動画は、ただ出すだけでは見られません。 63回という数字は、そのことをそのまま表しています。
作れることと、見てもらえることは別の話です。 作るところまではAIで手間を減らせます。見てもらうところは、別に手を動かす必要があります。この記事でお伝えできるのは、いまのところ前者だけです。
AI解説動画の作り方。台本から書き出しまでの4工程
ここからが本題です。社内で制作した第2話(7分18秒)の作り方を、順にご紹介します。以下の数字と手順は、すべて第2話のものです。
AI解説動画の作り方の流れ。台本、声、画面、書き出しの4工程と、それぞれで人が確認すること
工程1. 台本を書く
最初に作るのは、動画ではなく台本です。第2話の台本は、セリフが82本あります。
台本はAIと一緒に書きますが、丸ごと任せてはいません。「聞き役」と「解説役」を決め、どの場面でどの数字を出すか、出典は何かを先に決めてから、セリフに起こします。
台本は、文章ではなくデータとして持っています。セリフ1本ごとに番号を振り、誰が話すか、どんな表情か、画面に何を出すかを書いておく形です。こうしておくと、あとの工程がすべて自動でつながります。
工程2. 声をつくる
声は、VOICEVOX(ボイスボックス)という無料の音声合成ソフトで作っています。文章を入れると、キャラクターの声で読み上げた音声ファイルができるソフトです。
ここに、作り方全体のいちばん大事な工夫があります。声の長さを先に決めて、画面のほうを声に合わせるという順番です。
動画編集でいちばん時間がかかるのは、声と字幕と絵のタイミング合わせです。第2話では、セリフごとの音声の秒数をそのまま動画の時間割にしています。たとえば「この言葉を言い始めたら、この図を出す」と台本に書いておくと、声の長さが変わっても、図の出る位置が一緒に動きます。タイミングを手で合わせる作業がなくなりました。
工程3. 画面を組む
画面は、動画編集ソフトではなく、ホームページと同じ仕組み(HTML)で組んでいます。左右にキャラクター、中央に図、下に字幕、という配置です。
キャラクターの絵は、画像生成AIで作りました。口を開けた絵、閉じた絵、まばたきの絵を用意しておき、声に合わせて切り替えると、話しているように見えます。
字幕は1行20字までと決めています。それより長いセリフは、台本の段階で2つに分けます。読める速さには限りがあるので、ここは仕組みのほうで縛っています。
工程4. 書き出して、つなぐ
最後に、組んだ画面をブラウザ(Chrome)で1コマずつ撮影し、声と合わせて1本の動画ファイルにまとめます。まとめる作業には、ffmpeg(エフエフエムペグ)という無料のソフトを使っています。音の大きさは、YouTubeで聞きやすいとされる基準(マイナス14LUFS)にそろえています。
第2話は、全体を5つに分けて書き出し、最後につなぎました。社内で書き出した8分半の版では、書き出しに約20分かかっています。人が待つ時間ではありますが、手を動かす時間ではありません。
使っている道具の一覧
| 工程 | 道具 | 補足 |
|---|
| 台本 | 生成AI(文章) | 構成と出典は人が先に決める |
| 声 | VOICEVOX | 無料。声ごとに利用規約があります |
| 絵 | 画像生成AI | 口と目の差分も同じ方法で作成 |
| 画面 | HTMLとChrome | 動画編集ソフトは使っていません |
| 結合 | ffmpeg | 無料 |
特別な機材は使っていません。ふだんの事務に使っているパソコン1台で作っています。
やってみて分かった失敗と直し方
第2話「導入したのに誰も使わなくなるAI」のサムネイル(イラストはAIで生成したものです)
手順だけを並べると、簡単そうに見えます。実際には、いくつもつまずきました。同じことを試す方の参考になるよう、そのまま書きます。
失敗1. 数字は合っていたのに、言い切りが資料の結論と合っていなかった
これがいちばん大きな学びでした。
第2話の台本では、調査資料から数字を6つ引用しています。公開前に、AIを3体使って台本を点検させました。数字は6つとも、元の資料と一致していました。
ところが、数字の前後に置いた言い切りが、資料の結論と合っていませんでした。たとえば「原因は、たいていルール」というセリフです。引用した資料を読み直すと、そこまでは言えません。資料は会社の進め方を4つの型に分けて比べていて、ルールだけが原因だとは書いていませんでした。
言い切りを弱めたのは4か所です。「原因は、たいていルール」は「原因のひとつは、ルールの作り方」に直しました。「半年もすると誰も触らなくなる」は「だんだん使われなくなっていく」に直しました。
数字が合っているかだけを確かめても、足りません。その資料が何を結論にしているかまで読む必要があります。 動画は文章より言い切りが強くなりやすいので、ここは今後も人が見る場所として残します。
なお、第2話で扱った「導入したのに使われなくなる」という話は、コラムにも書いています(→ AI導入が定着しない原因|誰も使わないのは道具のせいではない)。
失敗2. 生成した絵に、使えないものが混ざっていた
動画の途中に入れる挿絵も、画像生成AIで作っています。作った絵を1枚ずつ見ていくと、使えないものが混ざっていました。
1枚は、机の上の缶飲料に、実在の商品のロゴに似た模様が入っていました。もう1枚は、棚の上に、既存のキャラクターに似た人形が写り込んでいました。どちらも頼んでいないのに出てきたものです。この2枚は使っていません。
生成した絵は、主役だけでなく、背景の小物まで見る。当たり前のことですが、枚数が増えると見落とします。
失敗3. 書き出しの途中で、撮影が固まる
工程4の撮影が、ごくまれに30秒ほど固まることがありました。1秒に30コマを撮るので、7分の動画でもコマの数は1万を超えます。その途中で1回止まると、気づかないまま時間だけが過ぎます。
固まったら自動で撮り直す処理を足して、直しました。あわせて、全体を5つに分けて書き出す形にしたので、途中で失敗しても、やり直すのはその部分だけで済みます。
失敗4. 画面が空いたまま、声だけが進む
最初の版では、場面が切り替わってから図が出るまでに間が空き、何も映っていない枠を見ながら声だけを聞く時間がありました。
図を出すきっかけの言葉を前にずらし、場面の頭から最初の図が出るまでを最長3秒に収めました。文章のコラムにはない、動画ならではの直しです。
声と絵の権利で、公開前に確認したこと
AIで解説動画を作るときに、手順より先に確認したほうがよいのが権利です。当社が確認したのは次の3点です。
- 声の利用規約は、声ごとに違います。 VOICEVOXはソフト自体は無料ですが、収録されている声にはそれぞれ規約があります。クレジットを書けば使える声もあれば、事前に許可が要る声もあります。当社は、許可が要る声については、許可が取れるまで公開する動画に使わないと決めています
- クレジットは概要欄に書く。 公開した3本は、どの役をどの声が担当しているかを、動画の概要欄に書いています
- 数字の出典は、画面に1行で出す。 動画は読み返しにくいので、調査の数字を出す場面には、出典を画面に書いています。説明用に作った仮の数字には、画面に「仮の数字」と出しています
規約は変わることがあります。ご自身で作る場合は、公開する前に、使う声の公式ページを開いて確かめてください。
この作り方が向かない場合
正直に書きます。次に当てはまる場合、この作り方は合わないかもしれません。
- すぐに再生数がほしい場合。 上に書いたとおり、ただ出しただけの当社の3本は、合わせて63回です。作る手間は減らせても、見てもらえるかどうかは別の話です
- 社長や社員の人柄を見せたい場合。 キャラクターの掛け合いは、説明を分かりやすくするのには向いています。一方で、「この人に頼みたい」と思っていただくには、ご本人が出る動画のほうが合うことが多いと考えています
- 台本の確認に時間をかけられない場合。 失敗1で書いたとおり、AIが書いた台本は、数字が合っていても言い切りが強すぎることがあります。公開前に人が読む時間を取れないなら、出さないほうが安全です
- 1本だけ作れればよい場合。 この作り方は、最初に仕組みを作る手間がかかります。効いてくるのは2本目からです
反対に、「同じ形の解説を、何本も続けて出したい」「説明の中身は自分たちで持っている」という場合には、合う作り方だと思います。
これからのことと、ご覧いただける場所
チャンネルは、このあとも続けます。
くり返しになりますが、動画づくりは当社ではテストの段階です。ここに書いたのは、自社の発信のために試していることの途中経過です。
当社が実際に仕事で使っているAIの一覧は、次のページにまとめています。動画のほかに、毎朝の商談準備メモ、請求書、議事録なども載せています。
▼ 当社が使っているものの一覧
まず自分たちで使っています(自社の実践)
▼ 渡している仕事と、渡していない仕事の線引き
社内AI活用の実例|AIに渡した12の仕事と渡さない5つ
まとめ
- AI解説動画の作り方を、自社のYouTubeチャンネル「AIドル未来会議」で試しています。9月28日から10月7日までに3本を公開しました
- 再生数は、10月12日朝の時点で48回・13回・2回、合わせて63回です。動画は、ただ出すだけでは見られません。作れることと、見てもらえることは別の話です
- 作り方は、台本、声、画面、書き出しの4工程です。声の長さを先に決めて画面を合わせる順番にすると、タイミング合わせの手作業がなくなります
- いちばんの失敗は、数字は6つとも合っていたのに、言い切りが資料の結論と合っていなかったことでした。4か所を弱めました
- 声には声ごとの利用規約があります。公開前に、公式ページで確かめてください
- 動画づくりは、当社ではまだテストの段階です
「うちの説明も、動画にできるだろうか」と気になった方は、まず第2話をご覧ください。7分ほどで、できあがりの形が分かります。
※本文中のサムネイルとキャラクターのイラストは、AIで生成したものです。
【群馬・北関東の中小企業・ひとり社長のAI導入をサポート】
UMEO CREATE(ウメオクリエイト)では、群馬県(高崎・前橋・太田・伊勢崎・吉岡町など)を中心に、中小企業や個人事業主・ひとり社長様向けの「AI導入・業務自動化・DX伴走コンサルティング」を行っています。
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