2026.10.23

メール移行をGoogle Workspaceへ|切り替え前に決める5つ

Google Workspace業務効率化メール

メール移行をGoogle Workspaceへ|切り替え前に決める5つ

「レンタルサーバーのメールを、Google Workspace(会社向けのGmail)に移したい」というご相談を、最近いくつかいただいています。迷惑メールが多い、容量がすぐいっぱいになる、スマホで見にくい、ドキュメントや表計算も一緒にそろえたい。理由はさまざまです。

ところが、メールの引っ越しは「新しい箱を契約して、アドレスを作れば終わり」ではありません。止まる場所は、Googleの画面の中よりも、その手前にあります。 ドメインの設定をどこで管理しているか、ホームページをどうするか、複合機から送っているメールはないか。こうしたことを先に決めておかないと、切り替えた日に「届かないメール」が出ます。

この記事では、当社(UMEO CREATE)が実際の移行の準備と立ち上げで確かめたことをもとに、切り替え前に決めておく5つを、GoogleとレンタルサーバーのNTTPC(WebARENA)の公式ヘルプで確かめた事実だけで書きます。料金・移行の上限・複合機の送信・MXの値・ホームページを残したときの配達の扱いは、2026年10月23日に公式ページを開き直して確認しました。

この記事の目次(11項目)

メール移行で止まるのは「Googleの外側」

Google Workspaceの申し込み自体は、画面の案内に沿って進めれば終わります。止まりやすいのは、そのあとです。

メールが「どのサーバーに届くか」は、ドメイン(会社の @ 以降の名前)の設定で決まっています。この設定を置いている場所をDNS(ドメインの住所録のようなもの)と呼びます。メールを移すとは、この住所録の「メールの届け先」を、今のレンタルサーバーからGoogleに書き換えることです。

つまり、移行の成否は住所録を書き換えられるかどうかと、書き換えたときに、今まで今のサーバーの中で済んでいた仕事がどうなるかで決まります。以下の5つは、どれもこの2点に関わります。

決めること1:DNSはどこにあって、誰が触るか

最初に確かめるのは、ドメインの住所録がどこにあるかです。ここを後回しにすると、Googleの申し込みが終わった時点で進めなくなります。

標準のDNSのままだと、書き換えられないことがある

レンタルサーバーによっては、契約に付いてくる標準のDNSのままでは、メールの届け先(MXレコード)やドメインの確認用の文字列(TXTレコード)を自由に変えられません。

たとえば、NTTPCのWebARENA(SuiteX)の公式ヘルプには、標準で提供しているDNSサーバーでは利用者が任意のレコードを編集できず、Google Workspaceを使うには、編集できるDNSを用意するか、有料のDNSアウトソーシングを使う、という案内があります。そして、DNSを切り替えると今のレコードは引き継がれないので、ホームページ用の分も含めて全部入れ直すことになります。

この場合、Googleの手続きより先に「DNSをどこに置くか」を決めないと、ドメインの所有確認すらできません。

実際に詰まったのは「入れる場所」の間違いだった

当社で立ち上げを手伝ったある事務所では、Workspaceの申し込みのあと、Googleの案内に沿って、お客様ご自身でレンタルサーバーのDNSの画面を開いてくださいました。

ところが、確認用のTXTレコードを、種類の欄でCNAMEを選んだまま入れてしまい、エラーになりました。そのたびに画面の写真を送っていただき、こちらが一手ずつ返す形になりました。最後は無事に通りましたが、代表本人の感想は「これは最初からこちらでやったほうが早かった」です。

Googleの申し込み画面は、終わるとそのまま「DNSの設定」に進むように作られています。止める場所を決めておかないと、自然に先へ進んでしまいます。当社ではこの件以来、申し込みの案内に「Googleの画面がDNSの設定に進んだら、そこで止めてご連絡ください」と書くようにしました。ログインはお客様の画面で入っていただき、パスワードはお預かりしません。

決めておくこと

  • ネームサーバー(住所録の置き場所)がどこか。社内で分からなければ、ドメインを取った会社の管理画面で確かめる
  • そのDNSで、MXとTXTを編集できるか
  • ドメインを取った会社と、レンタルサーバーの管理画面に入れる人が社内にいるか
  • 書き換えるのは誰か(社内の人か、手伝う側か)

決めること2:ホームページを今のサーバーに残すか

メールだけをGoogleに移し、ホームページは今のレンタルサーバーに残す、という形はよくあります。ここに落とし穴があります。

同じサーバーの中で、メールの配達が終わってしまう

NTTPCの公式ヘルプでは、Webを今のサーバーに残してメールだけを外に移すと、同じサーバーから自社ドメイン宛てに送ったメールが、外に出ずにサーバーの中で配達されてしまい、Googleに届かないことがある、と案内しています。

影響を受けるのは、たとえば次のようなものです。

  • ホームページの問い合わせフォーム(通知が自社のアドレスに届く設定のもの)
  • 今のサーバーのWebメールや転送設定
  • サーバー上のプログラム(CGIやPHP)から送っているお知らせメール

問い合わせフォームの通知が届かなくなると、お客様からの連絡に気づけません。いちばん困るところです。

決めておくこと

  • ホームページを今のサーバーに残すか、移すか
  • 残すなら、フォームの通知先や、サーバーから送っているメールを洗い出す
  • 切り替え後に、フォームから実際に送ってみて届くかを確かめる日を決める

決めること3:過去のメールをどこまで持っていくか

新しいメールボックスは空の状態から始まります。過去のメールを持っていくかどうか、どこまで持っていくかを決めます。

Googleの移行の道具でできること・できないこと

レンタルサーバーのメールは、Googleの管理画面にあるデータ移行の道具(IMAPという受け取り方式を使うもの)で取り込めます。公式ヘルプで確かめた主な条件は次のとおりです。

  • IMAPからは、一度に最大100ユーザーまで
  • メッセージと添付ファイルの合計が25MBを超えるメールは移らない
  • Gmailでブロックされる種類の添付(実行できるファイルなど)が付いたメールは移らない
  • 取り込み先のユーザーは、先に作っておく必要がある
  • 実行するのはお客様側の特権管理者。販売パートナーは、この道具で顧客のデータを取り込めない

取り込むには、今のサーバー側の各人のパスワードが必要です。社員から集めるのか、サーバーの管理者が一度パスワードを設定し直すのかも決めておきます。設定し直すと、その日は各人のメールソフトが一度使えなくなります。

パソコンの中にしかないメールは別の扱い

受け取り方式がPOP(受け取ったらサーバーから消す方式)の場合、過去のメールはサーバーではなく、各人のパソコンの中にしかないことがあります。その場合は、サーバーから取り込む道具では移せません。パソコンのメールソフトから書き出して取り込む、別のやり方になります。

決めておくこと

  • 過去のメールを持っていくか、何年分か
  • 受け取り方式はPOPかIMAPか(各人のメールソフトの設定で分かります)
  • 25MBを超える大きな添付のやり取りがあるか
  • パスワードを集めるか、設定し直すか

決めること4:複合機や業務システムから送っているメール

見落としやすいのが、人ではなく機械が送っているメールです。複合機の「スキャンしてメールで送る」機能や、販売管理などの業務システムが自動で出すメールです。

ユーザー名とパスワードだけの接続は使えない

Googleの公式ヘルプには、2025年5月1日から、ユーザー名とパスワードだけでログインする古い方式のアプリや機器は、Google Workspaceのアカウントで使えなくなったとあります。

複合機などから送る方法として、公式ヘルプには次の3つが載っています。

1. SMTPリレーを使う(推奨)
2. GmailのSMTPサーバーを使う
3. 制限付きのGmail SMTPサーバーを使う

どれが使えるかは機器によって違います。古い機種では設定の項目そのものが無いこともあります。ここは推測で「たぶん大丈夫」と言わず、機種ごとに、実機で1通送って確かめるしかありません。

決めておくこと

  • 自社のドメインのアドレスからメールを送っている機械やシステムを、全部書き出す(複合機・基幹システム・メルマガの配信・ネットショップなど)
  • それぞれの機種名と、今の送信の設定
  • 切り替えの前に、試しに送る順番

決めること5:誰が管理者になり、いつ切り替えるか

最後は、人と日付です。

管理者は社内の人に

Google Workspaceには「特権管理者」という、すべての設定を変えられる役割があります。上で書いたとおり、過去のメールの取り込みも特権管理者が行います。当社では、お客様の社内の方を特権管理者にし、できれば2人にすることをおすすめしています。1人だと、その人が休んだり辞めたりしたときに、誰も設定を変えられなくなるからです。手伝う側は、別の権限をいただいて作業します。

切り替えの日と、旧サーバーの解約

届け先(MX)の書き換えは、反映まで時間がかかります。Googleの公式ヘルプでは、新しいMXが認識されるまで最長72時間ほどかかる場合がある、とあります。そのあいだは、古いサーバーと新しいGoogleの両方にメールが届く可能性があります。

そのため、次のことを先に決めておきます。

  • 切り替えは、問い合わせや受注が少ない曜日・時期にする
  • 旧サーバーはすぐに解約せず、しばらく残して届き方を確かめる
  • 旧サーバーの契約の更新月と、解約の条件(契約の種類で違うことがあります)

なお、Googleの現在の案内では、MXの値は smtp.google.com の1つです。以前の値(複数を入れる方式)も引き続き使えると書かれています。古い手順書やブログを見て設定する場合は、どちらの値か確かめてください。

送信の認証は、日を置いて順番に

切り替えたあとは、自社のメールが迷惑メール扱いされないための設定(SPF・DKIM・DMARCという3つの認証)を入れます。これは一度に全部ではなく、Googleの案内に沿って日を置きながら順番に進めます。ホームページを今のサーバーに残す場合は、そちらから送るメールの分も認証に含める必要があります。

Google Workspaceの料金

Googleの公式の料金ページ(2026年10月23日確認)では、年間プランの1ユーザーあたりの月額は次のとおりです。

  • Business Starter:800円
  • Business Standard:1,600円
  • Business Plus:2,500円

いずれも税別と明記されています。期間限定の割引の表示もあるので、実際の金額は契約時の画面で確かめてください。どのプランにどの機能が入るかも、契約前に料金ページの比較表で確かめるのが確実です。

当社がお手伝いできること

当社では、DNSの確認から、ユーザーの作成、過去メールの取り込みの段取り、複合機の送信の確認、切り替え後のフォームの試験までを、お客様と一緒に進めています。DNSの書き換えは、お客様の画面にログインしていただいたうえで、同席か画面共有で当社が行います。

メールの移行は、アドレスの数・ホームページを残すか・送っている機械の数で手間が大きく変わるため、決まった料金表は置いていません。内容を伺ってからお見積りします。当社の料金は全て一例で、ご予算に合わせたプランのご提案も可能です。

「うちの場合、どこで止まりそうか」をまず知りたい方は、無料の簡易業務診断(15分)のついでにご相談ください。メールに限らず、どの業務に手間が掛かっているかを一緒に整理します。

▼ 無料の簡易業務診断
https://www.umeocreate.com/dx-karte.html

この話が向かない場合

  • すでにGoogle Workspaceを使っている場合。 移行の話ではなく、使い方の話になります
  • 社内のメールやファイルをMicrosoft 365で統一している場合。 Gmailに移すより、今の環境を使い込むほうが手間が少ないことが多いです
  • 社内にDNSやメールの設定に慣れた方がいる場合。 この記事の5つを確認すれば、ご自身で進められると思います

まとめ

  • メール移行で止まるのは、Googleの画面の中ではなく、その手前のDNSとホームページの扱い
  • 標準のDNSのままでは、メールの届け先を書き換えられないレンタルサーバーがある
  • ホームページを今のサーバーに残すと、フォームの通知などがGoogleに届かないことがある
  • 過去のメールは25MBを超えると移らない。POPでパソコンの中にしかないメールは別のやり方
  • 複合機や業務システムは、2025年5月1日からユーザー名とパスワードだけでは送れない。機種ごとに実機で確かめる
  • 特権管理者は社内に2人。切り替えは静かな時期に、旧サーバーはしばらく残す

出典(2026年10月23日時点)

仕様や料金は変わることがあります。作業の前に、必ず各社の最新のページをご確認ください。


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