社内で使っている見積や顧客台帳の画面を開いたとき、アドレス欄の末尾が chatgpt.site になっていたら、それはChatGPTの「ChatGPTサイト」という機能で作って公開されたものです。
AIに頼んで業務の画面を作ること自体は、悪いことではありません。当社(UMEO CREATE)も、群馬で代表ひとりの会社として、AIを使って業務の道具を作っています。手段そのものを責めるつもりはまったくありません。
ただ、その画面に会社の大事なデータを毎日入れているなら、置き場所のルールは一度読んでおく価値があります。 ルールとは、OpenAIが公開している「ChatGPT サイト利用規約」です。
この記事では、2026年10月22日に規約の本文を開き直して読んだうえで、業務システムとして使うときに確かめておきたい3つを、条文の番号つきで整理します。結論を先に書くと、次の3つです。
1. 提供側の判断で、いつでも止められることがある(5.2)。しかもベータ版(5.3)
2. お客様や社員の個人情報の責任は、使う側にある(3.2.1)
3. データを取り出す方法について、この規約の本文には書かれていない
なお、この記事は規約を読んで整理したものです。法律上の判断が要る場面では、弁護士などの専門家にご相談ください。
この記事の目次(10項目)
chatgpt.siteとは何か(規約の位置づけ)
まず、chatgpt.site が何なのかを規約の言葉で確かめます。
規約の2.7には、ChatGPTサイトを公開すると、末尾が「chatgpt.site」のようなOpenAI所有のサブドメインが提供される場合がある、と書かれています。サブドメインとは、住所でいえば「番地の一部を借りている」状態です。土地の持ち主はOpenAIです。
3.2には、サイトを公開すると「OpenAIがお客様に代わってChatGPTサイトをホストします」とあります。ホストとは、サイトのデータを預かって、インターネットに出し続けることです。つまり、画面もデータも、OpenAIの側に置かれるということです。
1.2では、サイトを提供・運営するのに必要な範囲で、OpenAIと、OpenAIに代わって業務を行う第三者のホスティング事業者が、サイトの中身を保存したり表示したりしてよい、という許可を利用者が出す形になっています。
ここまでは、どのクラウドサービスでもよくある形です。自社でサーバーを持たない以上、どこかに預けることになります。大事なのは、預け先のルールが業務システム向けかどうかです。
確かめる1:提供側の判断で、いつでも止められる
業務システムとして見たとき、いちばん重いのはこの条文だと考えています。
規約の5.2には、利用者がいつでも削除・公開停止できることに続けて、OpenAIは規約違反と判断した場合や危害のおそれがあると判断した場合を含め、「理由の如何を問わず、いつでも」サイトを削除・公開停止・無効化する権利を持つ、と書かれています。
さらに5.3には、ChatGPTサイトは「ベータ版サービスです」とあります。ベータ版とは、正式に完成した版ではなく、試しながら提供している段階のサービスのことです。
これが社内の掲示板や、イベントの案内ページなら、止まっても困るのは一時的です。ところが、次のような業務が乗っていたらどうでしょうか。
- 見積や請求の作成
- 顧客台帳や案件の進み具合の管理
- 勤怠や日報の記録
画面が止まると、その日の業務が止まります。 止まった理由が分からないまま、再開の見込みも立たない、ということも起こりえます。
もちろん、規約に「止めることがある」と書いてあるのは、多くのクラウドサービスに共通する一般的な書き方です。止められることが、すぐに止められるという意味ではありません。ただ、「ベータ版」と「理由を問わず止められる」が並んでいるサービスに、毎日の基幹業務を全部乗せるのは、少なくとも「知ったうえで選ぶ」ことだと思います。
確かめておきたいこと
- その画面が止まったら、どの業務が止まるか
- 止まったとき、紙やスプレッドシートで代わりに回せるか
- 止まった日の分のデータを、あとでどう戻すか
確かめる2:個人情報の責任は、使う側にある
2つ目は、お客様や社員の個人情報です。
規約の3.2.1には、ChatGPTサイトで集めた個人データ(規約では「ホストデータ」と呼んでいます)について、利用者がデータ管理者になる、と書かれています。データ管理者とは、その個人情報を何のために集め、どう扱うかに責任を持つ立場のことです。
つまり、保管しているのはOpenAIの側でも、法的な責任は使う会社の側に残ります。 3.2.1では、ログイン機能を付けたり、Cookie(閲覧者の端末に情報を残す仕組み)を使ったりして個人データを集める場合、必要な説明や同意の仕組みを利用者が用意する、とも書かれています。法律で必要な場合はプライバシーポリシーを載せる必要がある、とあります。
2.2と2.4にも、サイトの中身や、閲覧者とのやり取りについては利用者が単独で責任を負うこと、第三者から請求があった場合には利用者がOpenAIを守る(補償する)ことが書かれています。
社内だけで使う画面でも、顧客の氏名・住所・電話番号を入れていれば、それは個人情報です。「AIが作ったから、そのあたりはAIの会社が面倒を見てくれる」わけではない、ということです。
カード情報を扱う業種は特に確認を
規約の3.3では、PCI DSS(クレジットカード情報を守るための業界の基準)で規制される支払いカードのデータを、ChatGPTサイトで扱わないことに同意する形になっています。ただし、外部の決済サービスだけが集めて処理する場合は除く、と書かれています。
カード決済を扱う業種で、注文や会員の画面がChatGPTサイトに乗っている場合は、カード番号がどこを通っているかを一度確認しておくと安心です。
確かめる3:データの取り出し方は、規約に書かれていない
3つ目が、引き継ぎや乗り換えを考えたときに、いちばん効いてくる点です。
ChatGPTサイト利用規約の本文を、2026年10月22日時点で最初から最後まで読みました。削除や公開停止の条項(5.2)はありますが、利用者がデータを取り出す(エクスポートする)方法について書いた条項は見当たりませんでした。
ここは範囲を正確に書いておきます。
- この規約は、自分自身を「利用規約やサービス契約などを補足するもの」と位置づけています。ほかの規約やヘルプページに取り出し方が書かれているかどうかは、この記事では確かめていません
- 「取り出せない」と言っているのではありません。この規約の本文には、取り出せることを約束する言葉がない、ということです
業務システムで本当に困るのは、画面が止まることよりも、中に入っていたデータが手元に戻らないことです。見積の履歴、顧客の記録、これまでの案件の経過。こうしたものは、画面を作り直すことはできても、データは作り直せません。
だからこそ、規約に書かれていないなら、実際に取り出せるかを自分たちで確かめておくのがいちばん確実です。
公平のために:所有権は使う側にある
ここまで重い点を並べましたが、公平のために書いておくべきこともあります。
規約の1.1には、サイトに載せた内容(文章・画像・コードなど。閲覧者が入れた内容も含む)は、利用者のコンテンツであり、利用者が所有権を持ち続けると書かれています。データがOpenAIのものになるわけではありません。
また、5.2の前半にあるとおり、利用者のほうからもいつでも削除や公開停止ができます。
つまり問題は「データが誰のものか」ではありません。「自分のものであるデータを、必要なときに手元へ持ってこられるか」 です。持ち主であることと、手元に持ってこられることは、別の話です。
1つだけ聞くなら、この質問
ここまで読んで「うちの画面も確かめたほうがよさそうだ」と感じたら、作った人(社内の担当者でも、外部の開発会社でも)に、次の質問を1つだけしてみてください。
「お客様の情報と、見積・請求のデータは、どこに保存されていますか。そこからCSVなどで全部取り出せますか。実際に取り出したことはありますか。」
この質問の良いところは、誰が作ったか・どの道具で作ったかを問わずに使えることです。ChatGPTサイトでも、ほかのクラウドでも、社内のサーバーでも、同じ質問で一番大事なことが分かります。
聞くときの言い方にも気をつけたいところです。「AIで作ったから危ない」という言い方をすると、作った人は身構えてしまいますし、そもそも手段の問題ではありません。「置き場所と、取り出し方の確認です」 と伝えれば、事実の確認として受け取ってもらいやすくなります。
答えが「全部取り出せます。取り出したこともあります」なら、ひとまず安心です。答えに詰まるようなら、一度、実際に1回取り出してみることをおすすめします。取り出せた形式(CSV、スプレッドシートなど)と、取り出せなかったものを書き出しておくだけでも、いざという時の備えになります。
当社が業務の道具を作るときに決めていること
参考までに、当社が業務の道具を作るときの考え方も書いておきます。
当社では、業務システムをGoogleの環境(スプレッドシートやドライブなど)を土台にして作ることが多いです。理由の1つは、データがお客様ご自身のGoogleアカウントの中に、表の形で残るので、「どこにあって、どう取り出すか」を説明しやすいからです。
どの道具で作るにしても、作る前に「データはどこに置くか」「止まったらどうするか」「作った人がいなくなったら誰が直すか」を決めておくことが、長く使える道具の条件だと考えています。業務システムの開発についての詳しい内容は、次のページにまとめています。
▼ 業務システム開発について
https://www.umeocreate.com/system.html
この話が当てはまらない場合
次のような場合は、今回の確認はそこまで急がなくてよいと思います。
- ChatGPTサイトを、イベントの案内や試作など、止まっても困らない用途にだけ使っている場合。 規約の重さは、業務とデータが乗ってはじめて効いてきます
- データの正本が別の場所にあり、ChatGPTサイトは表示するだけの場合。 画面が止まっても、データは手元に残ります。ただ、本当に「表示するだけ」かは一度確かめておくと安心です
- すでに定期的にデータを取り出して、手元に保管している場合。 それがこの記事でおすすめしたいことそのものです
まとめ
chatgpt.site で終わるアドレスは、ChatGPTサイトで作って公開されたもので、画面もデータもOpenAIの側に置かれます(規約2.7・3.2)- 規約には、提供側が理由を問わずいつでも止められること(5.2)と、ベータ版であること(5.3)が書かれています
- 個人データの責任は、保管場所にかかわらず使う会社の側にあります(3.2.1)。カード情報は外部の決済サービスに任せる前提です(3.3)
- 2026年10月22日時点で、この規約の本文にはデータを取り出す方法の記述が見当たりません。ほかの規約やヘルプは確かめていません
- 所有権は使う側にあります(1.1)。問題は持ち主かどうかではなく、手元に持ってこられるかです
- 作った人に「どこに保存されていて、全部取り出せますか。取り出したことはありますか」と1つだけ聞いてみてください
出典(2026年10月22日時点)
- OpenAI「ChatGPT サイト利用規約」(2026年7月23日更新)
https://openai.com/ja-JP/policies/chatgpt-sites-terms/
※本文中の条番号(1.1・1.2・2.2・2.4・2.7・3.2・3.2.1・3.3・5.2・5.3)はこの規約のものです。規約は改定されることがあるため、ご確認の際は最新版をご覧ください(5.1に、随時更新する旨が書かれています)
【群馬・北関東の中小企業・ひとり社長のAI導入をサポート】
UMEO CREATE(ウメオクリエイト)では、群馬県(高崎・前橋・太田・伊勢崎・吉岡町など)を中心に、中小企業や個人事業主・ひとり社長様向けの「AI導入・業務自動化・DX伴走コンサルティング」を行っています。
「自社の業務でもAIを使える?」「何から手をつければいいかわからない」「面倒な事務作業を自動化したい」といったご相談は、お気軽に公式LINEまたはWebサイトのお問い合わせフォームよりご連絡ください。